音声コーデックOpusで録画した動画ファイルはブラウザで再生するのが一番手軽かもしれない

音声コーデックOpusで録画した動画ファイルはブラウザで再生するのが一番手軽かもしれない
Ultramaxって特徴的な色だよね。コントラストも高くてどぎまぎ。

互換性を意識しながら設定

たまぁに画面録画をすることがあり、先日もコーデックは何にしようかと答えのない選択肢にうーんと頭を抱えていた。

いろいろな問題を解決しているおニューなコーデックを使いたいのだけれど、変なコーデックを使うと再生できないんだよねー。

とりあえず理屈ではこうやっておこうかなと一応考えが固まった。

  • 動画コンテナとしてはHybrid MP4(つまり内部的にはFragmented MP4を使って、外から見れば普通のMP4として使えるので互換性もよき)
  • 音声コーデックはOpus。ビットレートは160 Kbpsに設定するので劣化どうこうというよりかはファイルサイズの削減が狙い。

WindowsだとOpusだめっぽい?

ここで問題!動画コンテナはMP4なので当然Windows11標準のMedia Playerで開けるのだが、音声が再生されない。エラーポップアップも出てきて、再生無理といわれる。

たしかにWindowsのMedia Playerがサポートするコーデックのリストに、Opusの名はない。

Media Player のコーデック - Microsoft サポート
コーデックを使用すると、さまざまな形式のオーディオファイルとビデオファイルを再生できます。 Media Player では、さまざまなコーデックがサポートされています。 ほとんどは箱の外に含まれています。いくつかの追加のコーデックは、Microsoft Store からインストールできます。

これは困ったと思い、古き良きAACにコーデックを切り替えようと一時は思った。

いやいやOpusを使おうぜ!ブラウザで再生すればいいじゃん

が、しかし!

現代のWindowsユーザーが実際に動画を再生する環境は、この公式リストよりもはるかに多様で複雑。

友達に動画ファイルを渡したときに、友達はWindows Media Playerで開くだろうか。多くの場合、ブラウザで開いたり、既にインストールされている他のメディアプレイヤーを使用したりするはず。

現代的な観点から見ると、むしろブラウザでの対応状況の方が重要かもしれないってことです。

ウェブ動画コーデックガイド - ウェブメディア技術 | MDN
このガイドでは、ウェブ上で使用する可能性の高い、または使用を検討している動画コーデックを紹介し、その機能の概要と互換性や有用性に関する懸念、そして自分のプロジェクトの動画に適したコーデックを選ぶためのアドバイスを提供します。

意外に知られていない事実ですが、ブラウザは現代において最も普遍的なメディアプレイヤーとして機能しています。WebベースのアプリケーションやサービスがOpusを標準採用している背景には、この状況があります。

パソコンでは動画ファイルをChromeやEdgeといったブラウザーにドラッグアンドドロップするだけで開けちゃいます。というか、視聴できちゃいます。

言われてみれば、YouTubeだってTwitchだって動画をストリーミングしているというだけで、動画を扱っているのはブラウザーです。画像や音声をブラウザーで開けるのと同様、当たり前すぎて気づきませんよね。

ということで、Chrome、Firefox、Edgeといった主要ブラウザは、すべてOpusを標準サポートしています。

Opus音声フォーマット | Can I use... HTML5、CSS3などのサポートテーブル

つまり、友達はファイルをブラウザにドラッグ&ドロップするだけで、追加ソフトウェアなしに再生できるということです。

実際YouTubeも互換性のためにAACはあるものの、配信の標準としてOpusを使っています。

ということで、録画時は音声コーデックとして安心してOpusを使用し、ファイルサイズと効率性の恩恵を受けようかなと思います。他人との共有が必要になった場合には、あんまり気にずそのまま渡して、標準ソフトで開けなさそうならブラウザで開くことをおすすめしてみて、それでもだめなら、FFmpegでAACに変換しようかなあと思います。

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なぜ静止画に4:2:2は存在しないのか

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はじめに 動画のコーデックを扱う際、「4:2:2」や「4:2:0」といった表記を目にすることが多い。これらはクロマサブサンプリング(色差サブサンプリング)のパターンを示す記法である。しかし、静止画フォーマットであるJPEGにおいても同様のサブサンプリングが適用されていることは、意外と知られていない。 本稿では、クロマサブサンプリングの数理的基礎から、各画像フォーマットにおける実装まで、技術的に正確な理解を構築することを目的とする。特に、「なぜ写真の世界では4:2:2がほとんど存在しないのか」という問いに対して、技術的・歴史的観点から考察する。 色空間とサブサンプリングの分離 クロマサブサンプリングを理解するには、まず「なぜ色情報を間引いても画質劣化が少ないのか」という根本的な問いに答える必要がある。この答えは、人間の視覚系の生理学的特性に深く根ざしている。 RGB色空間の特性 RGB色空間は、赤(R)・緑(G)・青(B)の3つの加法混色成分によって色を表現する色空間である。これは、ヒトの網膜に存在する3種類の錐体細胞の分光感度特性に対応している。 * L錐体(長波長

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ブログで使うWeb用の画像のフォーマットについて検討する

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