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現像の仕組み

フィルム写真の現像とは、撮影済みのフィルムに隠れている「見えない写真」を、化学反応によって目に見える形に変えるプロセスのこと。この記事では、現像の仕組みと各薬品の役割について、原理から実践まで段階的に解説する。 撮影済みフィルムの正体 現像の仕組みを理解するには、まず「撮影した瞬間に何が起きているか」を知る必要がある。 フィルムの構造 フィルムの乳剤層には、ハロゲン化銀(主に臭化銀 AgBr)の微粒子がゼラチンに分散されている。このハロゲン化銀が光に反応する「感光材」だ。 撮影の瞬間(露光) シャッターを切ると、光が当たった部分のハロゲン化銀に変化が起きる。光のエネルギーによってハロゲン化銀が分解され、ごく微量の金属銀の核(潜像核)が形成される。 潜像(Latent Image) この潜像核は目には見えないが、化学的な変化はちゃーんと起きている。これが「見えない写真」の正体。撮影済みのフィルムは、この潜像を抱えたまま、現像を待っている状態にある。 現像の5つのステップ 💡まずは全体像をシンプルに把握しよう。化学的な詳細は後まわし。 1. 現像 → �

By Sakashita Yasunobu

Ilford モノクロフィルム入門ガイド

📷Ilfordでモノクロフィルムを始めたい! でも、フィルムも現像剤も種類が多すぎて何を買えばいいかわからない……。このページでは、(メモも兼ねて)Ilfordの製品ラインナップを整理し、どれを選べばいいかをシーン別に紹介する。 フィルムラインナップ Ilfordのフィルムは大きく 3つの系統 に分かれている。 クラシック系(伝統的な乳剤) PAN F PLUS (ISO 50) 超微粒子でコントラストが高く、非常にシャープ。スタジオ撮影や明るい自然光での撮影に。 * 超微粒子・優れた解像度とシャープネス FP4 PLUS (ISO 125) 微粒子、標準コントラスト、優れたシャープネスを備えた万能フィルム。 * 微粒子・優れたシャープネス HP5 PLUS (ISO 400) ⭐定番 高感度で標準コントラストの万能フィルム。どんな撮影条件にも対応できる。 * 幅広いラチチュード・さまざまな撮影条件に対応 DELTA系(T-Grain乳剤) ✨Core-Shell™ クリスタルテ

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TailscaleのSubnet Routesを消す

SynologyのNASにTailscaleを導入し、便利に使っている。 TailscaleにはSubnet routersという機能がある。 これは、Tailscaleネットワークに接続されたデバイスが、そのデバイスが接続されているローカルネットワーク(サブネット)全体へのアクセスを他のTailscaleデバイスに提供できる機能だ。つまり、Subnet routerとして設定されたデバイスを経由することで、Tailscaleネットワーク上の他のデバイスから、そのローカルネットワーク内の機器にアクセスできるようになる。 Subnet routers · Tailscale DocsUse subnet routers to give devices outside your local network access to services within specific subnets. Extend your private network with Tailscale.Tailscale 便利そうだなと思って設定をしてみたものの、結局使うことがなかった。 公式ドキュメント

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Boids

群れに指揮者はいない 鳥の群れは、誰かが指示を出しているわけではない。魚の群れも同じ。それぞれが周囲を見て、少しだけ動く。その繰り返しが、全体として秩序ある動きを生む。 これを1986年にCraig Reynoldsがコードで再現した。名前は Boids(bird + oid)。個体に与えるルールは3つだけ。 1. Separation ── 近すぎたら離れる 2. Alignment ── 周囲と同じ方向を向く 3. Cohesion ── 群れの中心に寄る これだけで、群れは群れらしく動く。 なぜ作ったか 群れの動きは、見ていて飽きない。 * 単純なルールから複雑な動きが生まれる ── 創発(emergence)の典型例。設計していないのに、設計したかのように見える。 * 自分のブログに置きたかった ── 静的なページに、動くものがあると空気が変わる。 * Web Components で作りたかった ── どこにでも持っていける部品として。 設計の話 見えないときは止める 画面外でアニメーションを回し続けるのは無駄。Inte

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Days Elapsed

一年を「面」で見る 一年は365日。数字で見ると多いけど、並べてみると案外少ない。 12ヶ月を並べて、過去を塗りつぶして、今日を光らせる。それだけのカレンダーを作った。進捗バーが「一次元」なら、これは「二次元」の進捗表示。 Year Progress一年は50週ちょっとしかない 2026年を週で数えると、52週とちょっと。 カレンダーで見ると長そうなのに、週で数えると急に短くなる。そんな感覚を形にしたくて、このページの上の方に進捗バーを置いた。 やっていることは単純で、「今年が何%進んだか」をリアルタイムで表示しているだけ。 なぜ作ったか 理由は3つある。 1. 時間を「量」として見たかった ── イベントや予定ではなく、単純に「どれだけ経ったか」を数値で見たかった。 2. 目に見える形にしたかった ── 抽象的な「一年」を、動く数字に落とすとどう感じるか試したかった。 3. 自分の場所に置きたかった ── 誰かのツールを借りるのではなく、自分のブログに自分で作ったものを置きたかった。 実装の話 せっかく作るなら、

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Year Progress

一年は50週ちょっとしかない 一年を週で数えると、52週とちょっと。 カレンダーで見ると長そうなのに、週で数えると急に短くなる。そんな感覚を形にしたくて、このページの上の方に進捗バーを置いた。 やっていることは単純で、「今年が何%進んだか」をリアルタイムで表示しているだけ。 なぜ作ったか 理由は3つある。 1. 時間を「量」として見たかった ── イベントや予定ではなく、単純に「どれだけ経ったか」を数値で見たかった。 2. 目に見える形にしたかった ── 抽象的な「一年」を、動く数字に落とすとどう感じるか試したかった。 3. 自分の場所に置きたかった ── 誰かのツールを借りるのではなく、自分のブログに自分で作ったものを置きたかった。 実装の話 せっかく作るなら、それなりに丁寧にやりたかった。 * Web Components で実装。ブログのCSSやDOMを汚さず、どこにでも持っていける。 * requestAnimationFrame で描画。固定間隔のタイマーではなく、画面更新に同期させることで滑らかさとリソース効率を両立。 *

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AVIFを使っていこうと思った話

AVIFを使っていこうと思った話

以前の記事の振り返り 以前、ブログで使うWeb用の画像のフォーマットについて検討するで「Web用の画像フォーマット」を比較して、当時は WebPがいちばん現実的という結論にしていた。 ブログで使うWeb用の画像のフォーマットについて検討する背景と目的 普段から写真撮影を行っていると、画像ファイルが占める容量は無視できない規模になる。現在はNASとAmazon Photosに保存しているため、容量的な制約は少ないものの、ファイルサイズが小さくできるのであれば小さくしておく方が合理的だ。特にWeb公開を前提とする場合、ファイルサイズはアップロード・ダウンロード、そしてページ表示時間に直結するため、可能な限り小さい方が望ましい。 これまでは現像ソフトからJPEG品質100で出力し、Web用途など容量削減が望ましいケースではWebPに変換してきた。RAWファイルは別途バックアップしてアーカイブとして保存している。目視で画質劣化が認められないのであれば、全てWebPで保存しても問題ないのではないかと考えたが、より優れたフォーマットが存在する可能性があるため、現在利用可能な画像フォーマットにつ

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メールを送信しないドメインにSPF/DKIM/DMARCを設定して迷惑メール被害を避ける

メールを送信しないドメインにSPF/DKIM/DMARCを設定して迷惑メール被害を避ける

独自ドメインを持っているが、メールには使っていないという状況はよくあるはずです。 しかし、メールに使っていないドメインでも、メールの仕組み上、そのドメインを騙ってメールを送信されるリスクが存在します。 悪意ある第三者がドメインを詐称して迷惑メールやフィッシングメールを送信することで、ドメイン所有者が加害者であるかのように見せかけることが可能です。 結果として、ドメインの評判が傷つき、将来メールを使いたくなったときに正常に送信できなくなったり、最悪の場合ブラックリストに登録されたりする可能性があります。 被害を防ぐには、メールを送信しないドメインでも適切なセキュリティ設定が必要です。 本記事では、メール送信に使わないドメインでも設定しておくべき迷惑メール対策について解説します。 TL;DR メール送受信に使わないドメインには、以下の3つのDNS TXTレコードを設定しましょう。 レコード名 タイプ 値 (空) TXT v=spf1 -all _dmarc TXT v=DMARC1; p=reject; sp=reject; adkim=s; asp

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なぜ静止画に4:2:2は存在しないのか

なぜ静止画に4:2:2は存在しないのか

はじめに 動画のコーデックを扱う際、「4:2:2」や「4:2:0」といった表記を目にすることが多い。これらはクロマサブサンプリング(色差サブサンプリング)のパターンを示す記法である。しかし、静止画フォーマットであるJPEGにおいても同様のサブサンプリングが適用されていることは、意外と知られていない。 本稿では、クロマサブサンプリングの数理的基礎から、各画像フォーマットにおける実装まで、技術的に正確な理解を構築することを目的とする。特に、「なぜ写真の世界では4:2:2がほとんど存在しないのか」という問いに対して、技術的・歴史的観点から考察する。 色空間とサブサンプリングの分離 クロマサブサンプリングを理解するには、まず「なぜ色情報を間引いても画質劣化が少ないのか」という根本的な問いに答える必要がある。この答えは、人間の視覚系の生理学的特性に深く根ざしている。 RGB色空間の特性 RGB色空間は、赤(R)・緑(G)・青(B)の3つの加法混色成分によって色を表現する色空間である。これは、ヒトの網膜に存在する3種類の錐体細胞の分光感度特性に対応している。 * L錐体(長波長

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ブログで使うWeb用の画像のフォーマットについて検討する

ブログで使うWeb用の画像のフォーマットについて検討する

背景と目的 普段から写真撮影を行っていると、画像ファイルが占める容量は無視できない規模になる。現在はNASとAmazon Photosに保存しているため、容量的な制約は少ないものの、ファイルサイズが小さくできるのであれば小さくしておく方が合理的だ。特にWeb公開を前提とする場合、ファイルサイズはアップロード・ダウンロード、そしてページ表示時間に直結するため、可能な限り小さい方が望ましい。 これまでは現像ソフトからJPEG品質100で出力し、Web用途など容量削減が望ましいケースではWebPに変換してきた。RAWファイルは別途バックアップしてアーカイブとして保存している。目視で画質劣化が認められないのであれば、全てWebPで保存しても問題ないのではないかと考えたが、より優れたフォーマットが存在する可能性があるため、現在利用可能な画像フォーマットについて調査した。 主要な画像フォーマットの特徴 JPEG 最も広く普及している画像フォーマットで、互換性に関する信頼性は高い。しかし、規格自体が古く、現代的な圧縮技術と比較すると効率は劣る。 JPEGについて知っておくべきすべての

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WebpとAVIFをWindowsでローカルに使ってみる

WebpとAVIFをWindowsでローカルに使ってみる

ブラウザツールはいろいろあるのだが、ローカルでやるのがやはり便利なのでその方法を模索する。 sharpで画像を一括圧縮、WebP・AVIF変換する - Web production note画像変換ライブラリsharpを用いて、画像をまとめて圧縮や変換(Webp・AVIF・JPG・PNG)できる方法をまとめました。Web production note 非公式なコマンドラインツールなどもあるが、開発が最新のバージョンに追随していなかったりするので、おとなしく公式実装を使うのがよさそう。 PNGやJPEG画像をAVIFフォーマットへ変換してくれるコマンドラインツール「cavif」がリリース。PNGやJPEG画像をAVIFフォーマットへ変換してくれるコマンドラインツール「cavif」がリリースされています。詳細は以下から。AAPL Ch.AAPL Ch. Webp WebpはGoogleが作ったナウい画像形式。古臭いJPEGに比べて画質を保ったまま小さくできるのがウリ。 WebpのダウンロードはGoogle公式ページの「Windows版をダウンロード」から。 WebP のダ

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