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1Passwordを閉じるボタンが……ねえ!

1Passwordを使っていたら、いつの間にかウィンドウの 閉じる/最小化/最大化ボタンが消えていた。Ctrl+Wでウィンドウ自体は閉じられるので長らく放置していたけれど、調べてみたら原因がしょうもなかったので共有しておく。 💡結論 F11を押してみよう 症状 * ウィンドウ右上の最小化・最大化・閉じるボタンが表示されない * タイトルバーも消えている * Ctrl+W では普通に閉じられる * PC再起動、1Passwordの終了・再起動、アンインストール → 再インストール、いずれも変化なし 原因 ただフルスクリーンモードに入っていただけ。 1Passwordコミュニティの投稿「Lost window minimize buttons top rhc.」で全く同じ症状が報告されていて、コミュニティマネージャーの回答が「F11でフルスクリーンを切り替えてみて」だった。 解決手順 1. 1Passwordのウィンドウをクリックしてフォーカスを当てる 2. F11 を押す これでタイトルバーとボタン類が戻ってくる。ダメな場合は Win + ↓(ウィン

By Sakashita Yasunobu

外字と訓点を compile-time hash で解く

aozora は青空文庫の外字参照 (※[#「魚+師」、第3水準1-94-37] のような形) を約 14,000 件のテーブルで解決する。このテーブルを runtime の HashMap ではなく phf (perfect hash function) で持ち、コンパイル時に static 配列に焼き込んでいる。この記事はその選択の根拠と、JIS X 0213 → Unicode フォールバックの設計をまとめたもの。 handbook の対応章: Shift_JIS + 外字 resolver。 外字テーブルの形 外字エントリには 3 種類の解決結果があり、それぞれに対応する variant を GaijiEntry に持たせている。 static GAIJI_TABLE: phf::Map<

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青空文庫の .txt を HTML に変換する最短手順

青空文庫 で配布されている .txt ファイルを HTML に変換したい、という用途向けの手順。Rust の知識は要らない。コマンド 1 行で済む。 1. CLI バイナリを取ってくる aozora の Releases ページ から自分の OS 向けのアーカイブを落とす。 OS アーカイブ名 Linux x86_64 aozora-vX.Y.Z-x86_64-unknown-linux-gnu.tar.gz macOS arm64 aozora-vX.Y.Z-aarch64-apple-darwin.tar.gz Windows x86_64 aozora-vX.Y.Z-x86_64-pc-windows-msvc.zip SHA256SUMS も同梱されているので、

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50,000 ノードの AST を 16 回のアロケーションで: bumpalo 借用アリーナの実例

aozora の AST は bumpalo 単一アリーナの上に構築されている。Box<Node> を素直に並べた版に比べてパースが 6.4 倍速、ピーク RSS が 30% 減という結果が出ている。この記事は、その設計判断と Rust ライフタイムの取り回しを実装の視点から整理したもの。 handbook の対応章: Borrowed-arena AST。 問題設定 青空文庫の典型的な作品は約 500KiB のソースで、aozora がパースすると約 50,000 ノードの木に展開される。素直に Rust らしく書けば次のような形になる。 enum Node { Plain(String), Ruby { target: String, gloss: String }, Container { kind:

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7 個のトリガーバイトを 12 GB/s で探す: Teddy を選んだ理由

aozora は青空文庫記法の Rust パーサで、字句解析の最初のフェーズが「ソース全体から 7 種類のトリガーバイトを探す」というマルチパターンスキャンになっている。この記事は、その 1 フェーズに Intel Hyperscan 由来の Teddy アルゴリズムを採用した経緯と、対立候補に勝った算術的な根拠を整理したもの。 handbook の対応章: SIMD scanner backends。 問題設定 aozora-pipeline の Phase 1 (字句解析の最初のフェーズ) は、ソース文字列の中から次の 7 文字の出現位置を全て列挙する。 | 《 》 ※ [ ] 全角空白 これらは青空文庫記法の構文トリガー (ルビ・注釈・字下げの開始/終了マーカ) で、出現する位置だけが分かれば後段のフェーズで「これは何の構文か」を解釈できる。 UTF-8 で見ると 7 文字 × 3 バイト

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青空文庫記法を解析する Rust パーサ aozora

aozora は青空文庫記法のパーサ。CommonMark や Markdown は扱わず、青空文庫が配布している .txt ファイルに現れる注釈記法だけを対象にする。実装は Rust で、CLI バイナリ・Rust ライブラリ・WASM・C ABI・Python バインディングの 5 種類で配布する。 use aozora::Document; let source = "|青梅《おうめ》".to_owned(); let doc = Document::new(source); let tree = doc.parse(); let html: String = tree.to_html(); let

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Capture Oneに待望のネガフィルム変換機能が来た

2026年4月3日、Capture One 16.7.4 がリリースされた。目玉はなんといっても Negative Film Conversion(ネガフィルム変換) の搭載だ。これまで Cultural Heritage エディション限定だったネガ反転処理が、ついに通常の Capture One Pro / Studio でも使えるようになった。 何が変わったのか 従来、Capture One でネガフィルムをポジに変換するには、Cultural Heritage(CH)エディションを使う必要があった。CH は文化財デジタル化向けの専用製品で、Base Characteristics ツールに Film Negative / Film Positive モードが用意されていた。しかし一般の写真愛好家がフィルムスキャンのためだけに CH を導入するのは現実的ではなく、多くのユーザーは Lightroom とそのプラグイン(Negative Lab

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雨の中、歩くべきか走るべきか

傘を忘れた日の永遠の問い、歩くか、走るか、いやいっそ雨宿りをするのか。物理で決着をつける。 モデル 人体を直方体で近似。上面積 $A_{\text{top}}$(頭・肩)、前面積 $A_{\text{front}}$(胸・顔)。雨は鉛直一様(落下速度 $v_r$、数密度 $n$)、距離 $d$ を速度 $v$ で直線移動する。 人体の直方体モデルは、上から見た水平断面が $A_{\text{top}}$、正面から見た鉛直断面が $A_{\text{front}}$ の二面で構成される。移動方向は水平、雨は鉛直に降る。 受ける雨滴数は、上面が $n v_r A_{\text{top}

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T-GRAIN・Core-Shell・旧式乳剤の定量比較

Kodak T-GRAIN、Ilford Core-Shell、旧式立方晶乳剤。写真フィルムの性能を左右する三つの乳剤技術を、特許文献と数式に基づいて比較する。 1. 出発点: 旧式乳剤の構造と限界 T-MAXやDeltaが何を改良したのかを理解するには、まず従来の乳剤がどのようなものだったかを押さえておく必要がある。 1980年代以前、標準的なハロゲン化銀乳剤はAgBrやAgBr(I)の結晶が立方体(cubic)か不定形(irregular)の形をしていた。Tri-XやHP5の祖先にあたるこれらの乳剤では、結晶のアスペクト比(直径対厚さの比)はおおむね1:1から2:1。三次元的にほぼ等方的な粒子が乳剤層にランダムに散らばっていた。 この形態が感度と粒状性のトレードオフに直結する。立方晶粒子を一辺 $a$ の立方体として近似すると、表面積と体積、そしてその比は次のとおりである。 $$ S_{\text{cubic}} = 6a^2, \quad V_{\text{cubic}} = a^3, \quad \frac{S}{V} = \frac{6}

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クジラはなぜがんにならないのか

体が大きい動物ほど細胞の数が多い。細胞が多ければ、そのうちどれかががん化する確率も高くなるはずだ。ところが現実には、クジラやゾウのがん発生率はヒトよりも低い。1977年、疫学者リチャード・ピートがこの矛盾を指摘した。以来この問いは「ピートのパラドックス」と呼ばれ、比較腫瘍学における最大の謎のひとつであり続けている。 種の中では予測通り、種の間では崩れる 同じ種の中では、直感どおりの傾向が確認されている。身長の高いヒトはそうでないヒトよりがんの発生率がやや高く、年齢を重ねるほどがんは増える。細胞の数が多いほど、細胞分裂の回数が多いほど、がん化の確率は上がる。 しかし種を超えて比較すると、この関係が崩壊する。シロナガスクジラの細胞数はヒトの約1000倍にのぼるが、がんの発生率がヒトの1000倍になるわけではない。哺乳類全体を見渡しても、体サイズとがんリスクの間に明確な正の相関は長い間見つかっていなかった。がんの発生率は種が異なっても約2倍の範囲にしか収まらないとされてきた。体サイズの差は100万倍を超えるにもかかわらず。 ゾウが持つ余分ながん抑制遺伝子 最もよく知られた説明は

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電脳空間のハエ

ショウジョウバエの脳がコンピュータの上で再現され、仮想の体に接続されたら、歩き始めた。強化学習で訓練されたわけでも、行動規則をプログラムされたわけでもない。ニューロンの接続パターンをコピーしただけで、ハエは動いた。 何が起きたのか 2026年3月7日、サンフランシスコに拠点を置くEon Systems PBCが、デモンストレーション映像を公開した。同社の共同創設者であるAlex Wissner-Grossによれば、世界初の「身体を持つ全脳エミュレーション(embodied whole-brain emulation)」だという。 「全脳エミュレーション」とは、生物の脳の神経回路をニューロン単位、シナプス単位でコンピュータ上に再現し、動作させることを指す。「身体を持つ」とは、その脳のシミュレーションが物理法則に従う仮想の体に接続され、感覚入力を受け取り、運動出力を返す閉じたループを構成していることを意味する。 これまでにも脳のシミュレーションや体のシミュレーションは個別に存在した。線虫(C. elegans)の神経系を再現するOpenWormプロジェクトは約302個のニューロン

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光と写真

写真のしくみ ④ 虫めがねが紙を燃やす「焦点」のひみつ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 晴れた日に虫めがねを持って外へ出てみましょう。地面に黒い紙を置いて、虫めがねを太陽にかざします。レンズと紙のあいだの距離をゆっくり変えていくと、紙の上の光がだんだん小さくなって、あるところでぎゅっと小さな点になります。 その点をじっと動かさずにいると、白い煙がすうっと立ちのぼって、やがて紙がこげはじめます。 小学校の理科の実験で経験した人も多いのではないでしょうか。でも、あらためて考えてみると不思議です。虫めがねはただの透明なガラス。火をつける道具なんかではありません。それなのに、なぜ紙が燃えるほど熱くなるのでしょうか。 この「なぜ?」の先に、レンズの本質が隠れています。 太陽の光は「平行」にやってくる まず、太陽の光について考えてみましょう。 太陽は地球からおよそ1億5000万キロメートルも離れています。あまりにも遠いので、太陽から届く光は、地球に届くころにはほぼ完全にそろって「平行」に進んでいます。つまり、どの光も

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光と写真

写真のしくみ ㉔ 白黒しか見えないセンサーがカラー写真をつくるしくみ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 カメラのシャッターを切れば、カラー写真ができあがる。あまりに当たり前なので、そのしくみを不思議に思う人は少ないかもしれません。でも実は、カメラの中では驚くほど巧妙なことが起きています。 センサーは色が見えない いきなりですが、ちょっとびっくりする話から始めましょう。 デジタルカメラのセンサーは、色が分かりません。 「え、だってカラー写真が撮れるじゃん!」と思うかもしれません。もちろん最終的にはカラーの写真ができあがります。でも、センサーそのものが見ているのは、実は 「光の強さ」だけ なんです。 センサーの表面には、何百万、何千万という小さな「画素(ピクセル)」が並んでいます。ひとつひとつの画素は、光が当たると電気信号に変えます。光が強ければ大きな信号、弱ければ小さな信号。やっていることは、いわば 「ここは明るい」「ここは暗い」と測っているだけ です。 目をつぶって手のひらを太陽にかざしてみてください。まぶたの裏が明るく

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写真のしくみ ⑯ 虫の目になるマクロ撮影のしくみ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 前回は、絞りすぎると光の回折でぼやけるという「くっきりの限界」を見ました。今回は視点を変えて、ふだん肉眼では見えないほど小さな世界へ飛び込むマクロ撮影の話です。 きみは道ばたにしゃがみこんで、アリをじーっと見つめたことがあるでしょうか。花びらについた朝つゆをのぞきこんで、小さな水玉の中にひっくり返った景色が映っているのを見て、ちょっとびっくりしたことは? ぼくたちの目は、ものすごく近いものにはピントが合いません。試しに、人差し指を目の前5センチくらいまで持ってきてみてください。指紋がぼやけて見えるはずです。実はカメラのレンズにも、これとまったく同じ限界があります。 マクロ撮影というのは、その限界をぶち破って、小さなものを大きく写す技術のことです。テントウムシの背中の水玉もよう、タンポポの綿毛の一本一本、蝶の羽についた鱗粉のきらめき。ふだん肉眼では「なんとなく」しか見えなかったものが、写真になると「こんな世界だったのか!」と声が

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光と写真

写真のしくみ ㉚ RAWとJPEGのちがいを知って「生の写真」を自分で料理しよう

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 カメラの設定画面に「JPEG」と「RAW」という2つの選択肢があるのを見たことはありませんか? JPEGはふだんから目にする画像の形式ですが、RAWはちょっと聞き慣れないかもしれません。「プロっぽい人が使うやつでしょ?」と思っている人もいるでしょう。 実は、この2つのちがいを知ると、カメラの中で何が起きているのかがぐっと見えてきます。そして「自分の写真を自分の好きなように仕上げる」という、写真のいちばん楽しい扉が開きます。今回は、JPEGとRAWのちがいを「料理」にたとえながら、わかりやすく解き明かしていきましょう。 カメラの中で何が起きている? シャッターを押した瞬間、カメラの中では何が起こっているのでしょう。 レンズを通った光が、カメラの奥にある イメージセンサー にぶつかります。センサーは、ものすごくたくさんの小さな「光のバケツ」が並んだシートのようなものです。ひとつひとつのバケツが「ここにはどれくらいの光が来たか」

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写真のしくみ ⑫ ピントと被写界深度の正体

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 虫めがねで遊んだこと、ありますか? 晴れた日に虫めがねを持って外に出て、太陽の光を紙の上に集める。虫めがねをゆっくり上げ下げすると、紙に映る光の丸がだんだん小さくなって、あるところでキュッとひとつの点になります。もうちょっと動かすと、今度はまた丸が大きくなっていきます。 じつは、カメラの「ピントが合う」しくみは、まさにこれと同じです。 ピントが「合う」とは何が起きているのか カメラのレンズは、虫めがねの親せきです。やっていることは基本的に同じで、光を集めて、像をつくること。 目の前に一本の木があるとしましょう。木の葉っぱからは、光があらゆる方向に飛び出しています。太陽や空の光が葉っぱに当たって反射したもの、それが「葉っぱから出る光」です。そのうちレンズに飛び込んできた光は、レンズを通り抜けるときにぐっと曲げられて、レンズの反対側のどこか一点に向かって集まっていきます。 この「光が集まる点」が、ちょうどカメラのセンサー(

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写真のしくみ ㊴ ゴールデンアワーとブルーアワーの光の科学

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 きみは夕方の公園で、友だちの顔がやけにきれいに見えたことはありませんか。朝早く起きたとき、窓の外の街並みがいつもとまったく違う色に染まっていて驚いたことは? 実はそれ、気のせいなんかじゃありません。光そのものが本当に変わっているんです。写真を撮る人たちがこぞって「この時間がいちばんきれいだ」と言う、ある特別な時間帯があります。今回はその秘密を、科学の力でのぞいてみましょう。 ゴールデンアワーってなんだろう? ゴールデンアワーは、日の出のあとのおよそ1時間と、日没の前のおよそ1時間のことです。「マジックアワー」と呼ぶ人もいます。この時間帯になると、あたりの景色がふんわりとオレンジ色や金色に包まれます。人の肌はあたたかく輝いて見え、建物の壁は夕焼け色に染まり、木々の葉っぱは金色の縁取りをもらったようにキラキラします。 もう少し正確に言うと、太陽の位置が地平線から約6度以内にあるときが、もっともゴールデンアワーらしい光になるとされ

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光と写真

写真のしくみ ㉒ 光の足し算と絵の具の引き算で読み解く色のしくみ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 スマホの画面を、ぐーっと目を近づけて見たことはありますか。虫めがねやルーペがあれば最高です。よく観察すると、画面にはとても小さな光の粒がびっしりと並んでいます。赤、緑、青。たったこの3色の光だけで、写真も動画も、空の青もリンゴの赤も、ぜんぶ表現されています。 ところで、図工や美術の時間を思い出してみてください。絵の具をいろいろ混ぜていくと、どんどん色が暗くなって、最後にはなんだか黒っぽいドロドロになった経験はないでしょうか。 光を混ぜると明るくなる。絵の具を混ぜると暗くなる。同じ「色を混ぜる」はずなのに、まるっきり逆の結果になります。この不思議の正体をつかまえるのが、今回のテーマです。 テレビやスマホの画面をのぞいてみよう テレビやスマホ、パソコンのディスプレイは、光を出して映像を映しています。この光の正体は、ものすごく小さな 画素(ピクセル) と呼ばれる光の点です。ひとつひとつの画素の中には、赤(Red)・緑(Green

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写真のしくみ ⑪ 暗い場所でも明るく撮れるISO感度と露出の三角形

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 夜の街、室内のパーティー、薄暗い水族館。暗い場所で写真を撮ると、思ったよりずっと暗く写ってしまうことがあります。「もっと明るく撮れないのかな?」と思ったことはありませんか? この回では、その「もっと明るく」を実現するための道具、ISO感度(アイエスオーかんど)のしくみを解き明かします。さらに、カメラが写真の明るさを決めるために使っている3つの道具の関係、通称 「露出の三角形」 まで一気にたどりつきましょう。 暗いところで写真が撮れない! 写真が写るには「光」が必要です。明るい場所にはたくさんの光があるから、カメラは楽に写真を撮れます。でも暗い場所では光が少ないので、カメラに届く光の量も少なくなります。 光が足りないまま撮ると、写真は暗くなってしまいます。まるで、かすかな声を聞き取ろうとしているようなものです。声(光)が小さすぎて、うまく聞こえない(写らない)というわけですね。 ではどうすればいいでしょう? 方法は大きく分

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写真のしくみ ⑦ センサーサイズで画角が変わる理由とフルサイズ換算のしくみ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 同じレンズをつけているのに、カメラを変えたら写真に写る範囲が変わった。そんな経験をしたことはありませんか? あるいは、カメラのカタログで「フルサイズ換算○○mm相当」という表記を見て、首をかしげたことはないでしょうか。今回はその正体、センサーサイズと画角の関係を一緒に解き明かしていきましょう。 いきなり実験! 同じレンズなのに写る範囲がちがう? ちょっと想像してみてください。ここに2台のカメラがあります。1台は「フルサイズ」と呼ばれるカメラ。もう1台は「APS-C」と呼ばれるカメラです。 この2台に、まったく同じレンズをつけます。同じ場所に立って、同じ景色にレンズを向けて、シャッターを切ります。 さあ、撮れた写真を並べてみると……あれ? 写っている範囲がちがう。 フルサイズで撮ったほうが景色を広く写していて、APS-Cで撮ったほうはまるで少しズームしたかのように、狭い範囲だけが大きく写っています。 レンズは同じなのに、い

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写真のしくみ ㊳ 目とカメラはそっくりなのになぜ写真と見た目は違うのか

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 前回は、画面や紙の上で写真の色がどう再現されるかを見ました。今回は視点をぐるりと変えて、写真を「見る」側、つまり人間の目のしくみに迫ります。 きみは今、この文章を読んでいます。 当たり前のことですが、ちょっと立ち止まって考えてみてください。きみの目は、どうやってこの文字を「見て」いるのでしょう? じつは、目のしくみをよく調べてみると、カメラとびっくりするほど似ていることがわかります。でも、決定的にちがうところもある。今回は、「見る」という行為の正体にせまっていきましょう。 カメラのパーツと目のパーツを並べてみよう カメラの基本的なしくみを思い出してみてください。レンズが光を集めて、絞りが光の量を調節して、センサー(またはフィルム)が光を記録する。この3つが写真を撮るための基本セットでした。 人間の目にも、この3つにあたるパーツがちゃんとあります。 角膜と水晶体 → レンズ 目の一番外側にある透明な膜を「角膜(かくま

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写真のしくみ ㊱ 虹・ハロ・逃げ水・光芒が生まれるしくみと撮り方

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 雨あがりの空にかかる虹、太陽のまわりにぽっかり浮かぶ光の輪、夏の道路にキラキラ現れる幻の水たまり、雲のすきまから降りそそぐ光のカーテン。 ふだん何気なく「きれいだなあ」と眺めている空の現象には、どれもちゃんとした理由があります。しかも、そのしくみはびっくりするほどシンプルです。光がまっすぐ進み、何かにぶつかって曲がったりはね返ったりする。たったそれだけのルールで、これだけドラマチックな光景が生まれるのです。 今回は、虹・副虹・ハロ・逃げ水・光芒という5つの「空のふしぎ」を追いかけてみましょう。 虹のひみつ 雨あがりの空に大きなアーチを描く虹。あの美しい色のならびは、いったいどうやって生まれるのでしょうか。 雨つぶは小さなプリズム 理科の授業でプリズム(三角柱のガラス)に白い光を通すと、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の色に分かれるのを見たことはありませんか。虹が生まれるしくみは、まさにあのプリズムと同じです。ただし、プリズ

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写真のしくみ ㉟ 空の青と夕焼けの赤を生む光の散乱

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 空を見上げてみてください。 昼間はまっさおな青。夕方になると燃えるようなオレンジや赤。朝焼けはやさしいピンクで、曇りの日の雲は白、雨雲はどんよりした灰色。同じ空なのに、こんなにも色が変わるのはなぜでしょう? じつはこの秘密、ぜんぶ「光の散乱」というひとつのしくみで説明できてしまいます。今回は、空の色の正体をいっしょに追いかけていきましょう。 太陽の光は「白」じゃない まず、大前提の話から始めましょう。 ふだん何気なく浴びている太陽の光。あれは「白い光」だと思っている人が多いかもしれません。けれど、太陽の光をプリズム(三角柱のガラス)に通すと、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫と、虹のようにたくさんの色に分かれます。ニュートンが17世紀にやった有名な実験です。つまり太陽の光は、いろいろな色の光が全部混ざった「ごちゃまぜの光」なのです。 色の正体は、

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