資本主義の成立条件と拡大の論理

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本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。

近代社会において支配的な生産様式となった資本主義は、特定の歴史的条件のもとで成立した。その成立に不可欠だったのが「二重の意味で自由な労働者」の出現であり、資本主義的生産はその独自の構造ゆえに生産と販売の無際限な拡大を志向する。本稿では、資本主義の成立条件からその内在的な拡大の論理、そして拡大が直面する限界までを整理する。

二重の意味で自由な労働者

資本主義的生産の成立には、労働力が商品として市場に現れること、すなわち労働力の商品化が不可欠である。そのために必要な条件が「二重の意味で自由な労働者」の登場であった。

第一の自由は、財産からの自由である。これは英語のalcohol-freeにおけるfreeと同様の用法であり、「自由」というよりもむしろ「欠如」を意味する。すなわち、土地から切り離され、財産を持たない労働者の出現である。財産を持つ者は自らの生産手段によって生活を維持できるため、労働力を他者に売る必要がない。労働力の売り手が登場するためには、生産手段を持たず、労働力を売る以外に生存の手段を持たない人々が生まれなければならない。

第二の自由は、人格的自由である。これは身分制的な支配から解放され、自らの労働力を自由に処分できる状態を指す。封建制のもとでは農奴は領主に縛られており、自由に雇用契約を結ぶことができなかった。資本主義が自由な契約による労働者の雇用の上に成り立つ以上、労働者が自分の労働力の自由な所持者として契約に臨めることが必要条件となる。

この二つの条件がそろって初めて、労働力が商品として市場に現れ、資本主義的生産が成立する基盤が整うのである。

資本主義的商品生産の四つの要素

資本主義的商品生産を前近代の生産と区別する特徴は、四つの要素の結合にある。第一に商品生産であること、第二に利益を目的とすること、第三に雇用労働を用いること、第四に機械を採用し科学技術の最先端を活用することである。これら四つの要素が組み合わさることによって、従来とは質的に異なる強力な生産体制が成立した。

近代企業の無際限拡大志向

資本主義的生産のもとでは、企業は生産と販売を際限なく拡大しようとする。これは前近代の生産とは根本的に異なる特徴である。

近代における生産の目的は収益(貨幣)の獲得である。収益という目的には、達成して満足するという量がない。農産物であれば一定量で需要は満たされるが、貨幣には量的限度が存在しない。しかも市場での競争が企業を際限なき収益拡大に駆り立てる。競争に敗れれば企業の存続そのものが危うくなるからである。そして機械と雇用労働を利用した大量生産の仕組みが、この収益拡大を現実に可能にする。

前近代との比較

前近代の生産目的はこれとは対照的である。前近代社会では、農村の自給自足を基盤として、支配層が農業余剰を獲得することが生産の目的であった。余剰は、支配層とその部下の生活を維持し、支配の存続と拡大に充てられる。求めるものが具体的な農産物であるため、目標には具体的な量的限度が存在する

この違いが、近代企業が前近代の支配者とは異なる行動様式をとる根本的な理由である。

二つの限界と海外への展開

生産と販売を無際限に拡大しようとする企業は、やがて二つの大きな限界に直面する。

第一の限界: 国内販売市場の抑制

収益を確保し拡大するためには、生産費用としての賃金を抑制しなければならない。しかし賃金の抑制は、労働者の購買力を抑え、国内の消費市場を縮小させることにつながる。販売を拡大したいにもかかわらず、自ら買い手の力を抑制してしまうという矛盾が生じるのである。

この限界を突破するために、企業は海外への販売、すなわち輸出に向かうことになる。

第二の限界: 原材料調達の制約

生産を際限なく拡大しようとすると、原材料の供給が限界に達する。とりわけ農産物や鉱物資源のような一次産品は自然の制約を強く受け、機械化による増産にも限りがある。この限界を突破するために、企業は海外の資源を獲得し、原材料の輸入に乗り出すことになる。

こうして資本主義の内在的論理は、企業を国内市場から海外市場へ、国内資源から海外資源へと向かわせ、経済活動の国際的な拡大をもたらしたのである。

戦後の第三の限界

第二次世界大戦後には、新たな限界が加わった。戦後の先進国は教育や福祉、労働条件の改善を進め、経済成長とともに国内の賃金が上昇していった。さらに少子化の進行により労働力不足が現れるようになると、国内の労働力だけでは生産拡大に対応できなくなる。

この限界を突破するために、先進国の企業は途上国で新たに生まれた豊富で安価な労働力を活用するようになった。こうして製造業を中心とする海外生産が拡大し、生産の国際的分業がいっそう進展することになったのである。

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