フィルムを現像するときの薬剤の寿命
フィルム現像を始めようとすると、「現像剤」「停止液」「定着液」「水洗促進剤」「水切剤」……と、揃えるものが多くて不安になる。
この記事では、Ilfordの各薬品がどのくらいの頻度で減っていくのか、どのぐらいの間隔で買い足すことになるのかを解説する。
薬品の寿命は「2つの軸」で考える
薬品には 保存寿命(開封後どれくらい持つか)と 処理能力(何本現像できるか)の2つの制約がある。どちらか短い方が実質的な寿命になる。
現像剤(Developer)
現像剤だけは消耗品。保存寿命も処理能力も他の薬品より短く、ランニングコストのほとんどはここに集中する。
粉末タイプ(ID-11 / MICROPHEN / PERCEPTOL)



左から、ID-11 / MICROPHEN / PERCEPTOL
保存寿命
- 原液(満タン):6ヶ月
- 原液(半分以下):1ヶ月
- 希釈液(1:1, 1:3):24時間以内に使い切り
- 粉末のまま:数年(未開封なら安心)
処理能力
1袋 = 1L原液の場合:
- 原液で再利用:約10本
- 1:1希釈で使い切り:約5本
- 1:3希釈で使い切り:約3〜4本
買い足し目安
月3〜5本ペースなら3〜6ヶ月ごとに1袋。
原液を再利用すればコスパは良いが、「半分以下で1ヶ月」という保存寿命との戦いになる。希釈して使い切りの方が安心だが、消費は早くなる。このトレードオフを意識しよう。
液体タイプ(ILFOTEC DD-X)

保存寿命
- 未開封:24ヶ月
- 開封後(満タン):6ヶ月
- 開封後(半分):6ヶ月(粉末より長持ち)
- 希釈後:使い切り
処理能力
1Lボトルの場合、1:4希釈で約16本(35mm)。
買い足し目安
月3〜5本ペースなら4〜6ヶ月ごとに1本。
DD-Xは開封後も比較的長持ちするので、撮影頻度が少ない人にも向いている。粉を溶かす手間もなく、初心者にはこちらがおすすめ。
停止液(ILFOSTOP)

長持ち。年1〜2回買えば十分。
保存寿命
- 未開封:18ヶ月
- 開封後(濃縮液):3ヶ月
- 希釈後:比較的長持ち(色が変わったら交換)
処理能力
- 500mlボトルで10L分作れる
- 作業液1Lで数十本は処理可能
買い足し目安
年1〜2回。むしろ保存寿命で交換することが多い。
定着液(RAPID FIXER)

ほぼ一生モノ。5Lボトル1本で600本分。
保存寿命
- 未開封:2年
- 開封後(濃縮液):6ヶ月
- 希釈後(満タン):6ヶ月
- 希釈後(半分):1ヶ月
処理能力
- 5Lボトルで約600本(35mm換算)
- 1Lボトルでも約120本
買い足し目安
月5本撮っても10年分。実質的に買い足し不要。
定着液はとにかく処理能力が高い。最初に5Lボトルを買っておけば、趣味でやる分には一生買い足さなくていいかもしれない。
水洗促進剤(WASHAID)

長持ち。希釈率1:4なので減りが遅い。
保存寿命
濃縮液は長期間安定。
処理能力
- 1Lボトルで5L分の作業液
- 作業液は繰り返し使える
買い足し目安
年1回以下。
水切剤(ILFOTOL)

ほぼ一生モノ。1:200希釈なので永遠に減らない。
保存寿命
濃縮液は非常に安定。
処理能力
- 1Lボトルで200L分
- 1回の現像で使う量はごくわずか
買い足し目安
数年に1回。いつ買ったか忘れるレベル。
まとめ
月3〜5本撮影する場合の買い足し頻度:
- 現像剤:3〜6ヶ月ごと(ここだけ消耗品)
- 停止液:年1〜2回
- 定着液:数年に1回(実質一生モノ)
- 水洗促進剤:年1回以下
- 水切剤:数年に1回(実質一生モノ)
初期投資で一通り揃えたら、あとは現像剤だけ買い足していく感覚でOK。「いろいろ揃えなきゃいけない」と身構える必要はない。実質的なランニングコストは現像剤+フィルム代だけだ。