光と写真
写真の物理学 ㊱ フレームレートと運動知覚
📐写真の物理学シリーズ ㊱ このシリーズでは、写真にまつわる現象を物理学の言葉で記述する。「なんとなくそうなる」を「なぜそうなるか」に変換することが目的である。 なぜ24 fpsの映画が滑らかに見え、60 fpsのゲームがさらに滑らかに見えるのか。この問いに答えるには、光の物理学だけでなく、人間の視覚系が時間的な変化をどう処理するかという心理物理学の知見が必要になる。本記事では、フレームレートと運動知覚の関係を物理学と心理物理学の両面から記述する。 仮現運動:静止画が動いて見える条件 映画もテレビもモニターも、表示しているのは静止画の連続だ。しかし私たちはそこに「運動」を知覚する。この現象は仮現運動(apparent motion)と呼ばれ、1912年にマックス・ヴェルトハイマーがゲシュタルト心理学の文脈で体系的に研究した。 仮現運動の最も基本的な形式がベータ運動(beta movement)だ。位置Aに表示された図形が消え、短い時間間隔の後に位置Bにほぼ同じ図形が表示されると、観察者は一つの図形がAからBへ移動したと知覚する。 ベータ運動が成立する条件はコルテの法則(K