SynologyのNAS DS-423+導入に際して検討したこととCloudflare Tunnel

SynologyのNAS DS-423+導入に際して検討したこととCloudflare Tunnel
Synology DS-423+

私はカメラを買ってからというもの、写真にはまりました。

デジカメは良くも悪くも低いランニングコストで写真が撮れるので、画像データが山のように積もっていきます。最初のころはポータブルSSDをいくつか購入していたのですが、何個も所有しているとカタログ管理でのリンク切れが気になってきたり、写真を撮るたびに少ないストレージを圧迫していることが気になり、そもそも写真を撮るのが嫌になります。

大容量の保存空間が欲しいわけですが、パソコンにどでかいHDDを増設するだけでは外出先でのアクセスなどが不便です。いらないパソコンをサーバーにしてしまうのも手ですが、面倒なのでこういった用途のために作られた商品であるNASを導入することにしました。

NASを自宅外からアクセスするときの話

自宅外からNASにアクセスというと、ポート開放をしなければならないなど適当な記事が出てきますが、ポート全閉じでもやろうと思えば全然アクセスできます。

日本のインターネット環境はIPv6がカオスになっていますが、それでも普通に使えます。設定さえすればブログとして公開することも可能です。

Webでは家の光回線によってIPv6環境が異なり接続ができないこともあると書かれていたりしますが、どうにでもなるので安心して下さい。

どこのNASを選ぶか

NASもいくつかのメーカーがあり、現在ではSynologyとQnapの2社が一般消費者の間ではよくつかわれているようです。

公式が用意しているドキュメントがしっかり整備されている点を重視し、私はSynologyのものを購入することにしました。

どのNASを選ぶか

NASでは管理の利便性などからでっかいドライブを1つだけにするよりも複数のHDDを用意し、RAIDで運用することが一般的です。RAIDを組むことで冗長性が確保できる一方で、実際に利用できる容量が減少します。また、そもそもNASに装着できるHDD数などの制限があるため、そこも加味して選びます。

利用する容量から逆算すればいいだけの話なので、ざっくり計算します。

2TB/year程度の速度で画像データがたまっていくとざっくり見積もり、5年もすれば買い替え時期も視野に入るだろうということで2Tb/year x 5year = 10TB。そこに日常でため込まれるであろうスマホのバックアップやOfficeファイルなど5年で0.7TB程度でしょうか。少し余裕を見れば12TBあれば私の用途では足りる計算となりました。

SynologyではRAIDにSHRという技術を使っています。今回のように比較的少ない容量ではSHRで、ベイ数が多くなる大容量にはSHR-2を使います。

Synologyが公式に提供するRAID計算機を利用し、必要な12TBをどんな感じのHDD容量のもので構築するかをざっくり計算します。

RAID 計算機 | Synology Inc.
異なるサイズのハード ドライブや RAID レベルとペアリングするとき、このインタラクティブなツールを使って、Synology NAS のストレージ スペースを予想できます。

私は8TB HDD が3個あれば容量としては足りますが、ホットスペアとしてさらに1つ必要なため、合計4つあればよさそうです。

Synologyでは幅広いラインナップのNASを用意しています。2ベイか4ベイかということでしたので、今回は4ベイの製品を考えます。

  • DS-423+
  • DS-923+

Synologyで私にあってそうな製品は上の二つです。DS-923+はオフィス向けの商品であり、私にはオーバースペックなため、DS-423+で決まりです!

NASの周辺機器をそろえなきゃ

Sybologyはストレージドライブからアクセサリーについて、互換性のある製品のリストを「Synology 製品互換リスト」として公開しています。保守的といいますか、互換性リストにない部品を使うとサポートが受けられません。

相性問題や保証について安心できるので、リストの中から選びました。また、危機によってはEnterpriseグレードのものとPlusグレードのものがあります。Enterpriseグレードは品質管理が最も厳格に作られた製品ですが、一般ユーザーにとっては品質のばらつきよりも管理ユーザーの危機管理能力のほうがリスクとして高いのでPlusグレードで十分です。

HDD

製品型番HAT3310-8Tのものを選択しました。

メーカー純正でそろえることを推奨されているうえに、HDDはSynology純正が一番安かったってだけです。

NASをそろえるとなると容量はできるだけ多くほしくなりますが、あんまりにでっかくしても仕方がないのでバランスとって容量を選びました。

互換性リスト | Synology Inc.
データストレージとバックアップの一元化、ファイル コラボレーションの合理化、ビデオ管理の最適化、セキュアなネットワーク展開を行い、データ管理を容易にします。

こだわる人は故障リスクを減らすため、同一ロットでの製造品すら嫌います。製造時期の違うものを買うために頑張るそうです。具体的には購入ショップを変えるとか、そもそも発注時期をずらすそうです。私の使い方では機械的故障リスクよりも人的なミスによるリスクのほうが大きいため、そんなもの気にしません。

ホットスペア

DS-423+には4ベイあるとはいえ、4スロット目はホットスペアにして使いたいので実際に利用できるのは3ベイ分となります。

Hot Spare | DSM - Synology ナレッジセンター
Synologyナレッジセンターは、総合的なサポートをお届けするもので、よくある質問に対する回答の提供、トラブルシューティング手順、ソフトウェア チュートリアル、そして必要になるすべての技術文書が提供されます。

私は写真が容量のほとんどを占める使い方をするので、写真の容量から将来必要になる分も考えました。
具体的には、いらない写真を消しながら運用すれば一年で1-2TB程度消費するぐらいのペースです。
このままいけば5年ならば5-10TBあればよく、家族分のデータやバックアップを考慮すると14TBあればいいということに決めました。
ここで5年としたのは、5年もすれば大なり小なりNASやHDDなどの技術革新が起こり、買い替えのいい機会になるだろうと考えたからです。

ざっと概算したら、Synologyの提供するRAID計算機でHDDの容量を決めます。
RAIDタイプはSHRを使います。
SHRはSynology独自バージョンのRAID 5相当のRAIDとなります。
RAID 5よりも効率よくHDDを利用できます。

RAID 計算機 | Synology Inc.
異なるサイズのハード ドライブや RAID レベルとペアリングするとき、このインタラクティブなツールを使って、Synology NAS のストレージ スペースを予想できます。

メモリー

NASの読み書き速度のほかに、動作のサクサク度を上げるためにメモリーを増築する必要があります。
DS423+ではSynology Photoの物体認識にRAMが4GB以上必要ですし、NASのサクサク度に直接影響してきます。スマホもそうですが、日々の使用でサクサクなのが重要なので購入おすすめ度は星5です。

non-ECC メモリーで構わないモデルですので「Synology 製品互換リスト」のなかにあるSynology純正メモリー「D4NESO-2666-4G」を購入しました。

ECCはなんぞということですが、宇宙線などがメモリを通過した際ビットが反転する恐れがあります。そうしたエラーによってRAIDが全部破損することもあり得るため、そういったビットの反転を検出し修正する機能をメモリーに持たせたものがECCメモリーです。当然超高価です。

嘘みたいで冗談みたいな話ですが、ホントです。

私は一般家庭では宇宙線がメモリーに当たるリスクよりも、うっかりNASを蹴ったり倒したりするリスクのほうが高いとおもいます。

機種によってはECCメモリーしかサポートしていないので、サポートが切れることを承知でnon-ECCメモリーを使うか、高価なECCメモリーを使うしかありません。

互換性リスト | Synology Inc.
データストレージとバックアップの一元化、ファイル コラボレーションの合理化、ビデオ管理の最適化、セキュアなネットワーク展開を行い、データ管理を容易にします。

UPS

使う時だけUSBポートに差し込むポータブルストレージデバイスとは違って、NASは24時間365日通電しっぱなしで使います。

使う時だけ電源をつけてもいいですが、めんどうなので、基本的につけっぱな方針です。
また、NASは大容量かつ複数のドライブを扱うためRAIDを組むことが一般的ですが、これによってデータの読み書きが特殊になり、おいそれとは電源を切ることができなくなります。

USBメモリーなんかは面倒だからとパソコンからエイヤッと引き抜いても、まあ大丈夫ですが、NASではRAIDが崩壊しデータがすべて逝ってしまいます。

管理者としては電源ケーブルを引っこ抜かなければ問題ありませんが、どうにもならないものに停電があります。
運悪く雷が近所に落ちたなどし、データが飛んでしまってはまずいのでシステムが停電を察知し自動的にシャットダウンするよう、停電時のバックアップ電源を用意します。

ハイ アベイラビリティ クラスタを電源異常から保護するために UPS を設定する方法は? - Synology ナレッジセンター
Synologyナレッジセンターは、総合的なサポートをお届けするもので、よくある質問に対する回答の提供、トラブルシューティング手順、ソフトウェア チュートリアル、そして必要になるすべての技術文書が提供されます。

こちらも「Synology 製品互換リスト」から適当に選びます。

NASの電源さえ確保できれば良いのでリストの中ならなんでもいいのですが、せっかくなのでSynologyがテストをしているOmronのBW40Tを選びました。

UPSとNASはUPSに同梱される片っぽがRJ45のUSBケーブルという超特殊なケーブルで接続します。

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怪物の口に幸福が吸い込まれる

幸福の総量を最大化する。それが正しいと言われてきた。しかし1974年、ロバート・ノージックはたった一つの問いでその前提を破壊した。もしある存在が、他の全員よりも圧倒的に多くの快楽を得られるなら、功利主義は全員の取り分をその「怪物」に差し出すことを要求する。 あなたの幸福は計算の端数だった。切り捨てられた。 幸福を貪る口 1974年、ロバート・ノージックは『アナーキー・国家・ユートピア』のなかで一つの思考実験を置いた。 功利主義は、効用の怪物の可能性によって困惑させられる。怪物は、他の人々の犠牲から、その人々が失う以上に圧倒的に大きな効用の増加を得る。 仕組みは単純だ。功利主義の原則に従えば、社会全体の幸福を最大化する資源配分が「正しい」。ここに一人、あらゆる資源からとてつもない快楽を引き出す存在が現れたとする。りんご一個で他の百人分の快楽を得る。映画を一本見れば千人分の歓喜を感じる。 功利主義はこの怪物にすべてを差し出すことを要求する。他の全員が飢えても、怪物の快楽が総量を上回る限り、それが「最善」だと計算は告げる。 ノージックが示したかったのは、功利主義が論理的に正し

By Sakashita Yasunobu

綱を引く手が一本ずつ消えていく

あなたは集団のなかで、少しずつ消えている。 それは比喩ではない。測定可能な事実だ。19世紀末、フランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンは、人が集団で綱を引くとき、一人あたりの力が確実に減少することを発見した。人数が増えるほど、個人は薄まる。誰のせいでもなく、誰も怠けているわけではなく、ただ構造がそうさせる。 もしあなたがいま、何かのチームに属しているなら、あなたはすでに全力を出していない。そしてそのことに、おそらく気づいてもいない。 綱を引く手が教えたこと リンゲルマンの実験は素朴だった。 1880年代から1900年代初頭にかけて、彼は農業機械の効率を研究する過程で、人間が集団で水平方向に荷を押したり引いたりする際のパフォーマンスを測定した。その結果は1913年に報告されている。一人で綱を引くとき、その人間は持てる力をすべて発揮する。二人になると、一人あたりの出力は約93%に落ちる。三人で85%。八人になると、49%。半分以下だ。 この数字の意味を考えてみてほしい。八人で綱を引いているとき、あなたは一人のときの半分も力を出していない。しかもそのことに自覚がない。全員が

By Sakashita Yasunobu

嘘が真実を食い尽くす朝

「この文は嘘である」 この一文を前にして、あなたは立ち往生する。もし真だとすれば、文の内容に従って偽になる。もし偽だとすれば、「嘘である」という主張が間違っていることになり、真になる。真だと仮定しても偽だと仮定しても、反対の結論にたどり着く。出口がない。 これは言葉遊びではない。2300年以上にわたってこの問いに取り組んできた哲学者と論理学者たちは、いまだに合意に至っていない。解決策はいくつも提案されてきた。どれも、別の問題を抱えている。 あなたが自分自身について何かを語ろうとするとき、同じ構造がそこにある。 循環の入口 試しにやってみてほしい。「この文は嘘である」が真か偽か、判定する。 真だと仮定する。この文は「嘘である」と主張しているのだから、偽になる。仮定と矛盾する。 では偽だと仮定する。「嘘である」という主張が偽ということは、嘘ではない。つまり真になる。やはり仮定と矛盾する。 どちらに転んでも矛盾する。そしてこの矛盾は、推論のどこかでミスを犯したから生じたのではない。前提そのものに埋め込まれている。 エピメニデスの不発弾 よく混同されるが、古代ギリシアの

By Sakashita Yasunobu

何でも飾れる額縁だけが残った

1917年、マルセル・デュシャンは既製品の男性用小便器に「R. Mutt」と署名し、「泉(Fountain)」と名づけてニューヨーク独立芸術家協会の展覧会に出品した。拒否された。それだけの話だ。だが「それだけ」のはずの出来事が、それ以降のすべての芸術を汚染した。美しさも技巧も素材の選択も関係ない。署名ひとつ、提示の身振りひとつで、便器が「芸術」を名乗れる。そしてその瞬間から、「芸術とは何か」という問いは回答不能になった。回答不能のまま、100年以上が過ぎている。 目で見えないものが芸術を決める 1964年、アンディ・ウォーホルはスーパーマーケットに並ぶブリロの箱と見た目がまったく同じ「ブリロ・ボックス」をギャラリーに置いた。哲学者アーサー・ダントーは、この事態に根本的な問いを見出した。視覚的に区別できない二つの対象のうち、片方だけが芸術である。では芸術を芸術にしているのは何なのか。 ダントーの答えは「アートワールド」だった。芸術作品を芸術たらしめるのは知覚可能な性質ではなく、理論と批評と歴史が編み上げた解釈の共同体、その「理論的雰囲気」なのだと。あなたには何も見えていない。文字

By Sakashita Yasunobu