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光と写真

写真のしくみ ⑳ りんごが赤い理由と色が見えるしくみ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 私たちは毎日、色にあふれた世界で暮らしています。でも「色」は、光のなかにも、目のなかにも、そのままの形では存在していません。光と目と脳が協力してはじめて生まれるものです。 今回は、りんごの赤をきっかけに、色覚のしくみをたどり、デジタルカメラとの意外な共通点まで見ていきましょう。 りんごは「赤い光」を投げ返している きみの目の前に、つやつやの赤いりんごがあるとしましょう。「りんごは赤い」なんて当たり前すぎて、ふだんは気にもとめませんよね。でも、ちょっと待ってください。そもそも、なぜりんごは赤く「見える」のでしょう? 答えを先に言ってしまいましょう。りんごが赤いのは、りんご自身が赤い光を出しているからではありません。 りんごは太陽や蛍光灯の光を浴びて、そのなかの「赤い成分」だけを跳ね返し、残りの色の光をぜんぶ吸い込んでいます。跳ね返った赤い光だけが私たちの目に届くから、りんごは赤く見える。それだけのことです。 たとえ話をしま

By Sakashita Yasunobu

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写真のしくみ ㊲ 画面と紙で写真の色が変わるわけ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 写真を撮った。よく撮れた。さあ、誰かに見せたい。 そのとき写真は、スマホの画面に映るか、紙にプリントされるか、どちらかの姿をとります。画面で見た写真と、プリントした写真。同じデータのはずなのに、色がちょっと違って見えたことはありませんか。「あれ、画面ではもっと鮮やかだったのに」「プリントしたら暗くなった」。これは気のせいではありません。画面と紙では、色をつくるしくみそのものが根本的に違うからです。 今回は、ディスプレイとプリンターがそれぞれどうやって色をつくっているのかをのぞいてみましょう。そして、なぜ画面と紙で色がずれるのか、その理由をつきとめます。 画面の中の小さな光たち スマホやパソコンの画面を、虫めがねでぐーっと拡大してみたことはありますか。やってみると、びっくりする光景が広がっています。画面は、ものすごく小さな光の粒でびっしり埋め尽くされているのです。 この粒のひとつひとつを ピクセル(画素)と呼びます。そして

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写真のしくみ ⑲ ストロボの閃光で動きを止める特別な使い方

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 ある日、コップの水をテーブルにバシャッとこぼしてしまいました。水しぶきが飛び散ります。でもその瞬間を目で追いかけても、ぼんやりした水の塊しか見えません。ところが、ストロボをパッと光らせて写真を撮ると、空中に浮かぶ水滴のひとつひとつが、ガラス玉のようにくっきりと写ります。 なぜストロボを使うと、肉眼では見えないものが写るのでしょうか。今回は、ストロボの「光の短さ」という特別な性質と、それを活かしたいくつかのテクニックを見ていきましょう。 ストロボの光はどれくらい短い? ストロボの光は、パッと見ると一瞬です。でも「一瞬」といっても、いったいどれくらいの時間なのでしょうか。 人間のまばたきは、だいたい0.3秒くらいかかります。カメラのシャッタースピードでいうと約1/3秒。日常生活では「すごく速い」と感じるかもしれませんが、カメラの世界ではかなりのんびりした速度です。 ストロボの光は、それよりもずっと短くなります。カメラの上に取

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写真のしくみ ㉗ フィルムの性格を決める感度と粒子と色の個性

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 フィルムには「感度」というものがあります。ISO 100、ISO 400、ISO 800……。箱に書いてあるこの数字、じつはフィルムの写りをまるごと変えてしまうほど大きな意味を持っています。 同じカメラ、同じレンズで撮っても、フィルムを変えるだけで写真の雰囲気はがらりと変わります。なめらかでしっとりした写真になったり、ザラザラと荒々しい写真になったり。明るいところの粘り方も、色の出方も、フィルムごとにまったく違います。 今回は、フィルムの「性格」を決めている正体に迫ります。 感度ってなんだ? フィルムの感度とは、ひとことで言えば「光に対するフィルムの敏感さ」です。 ISO 100のフィルムは、光にちょっと鈍感。しっかり光を当ててあげないと像が写りません。一方、ISO 800のフィルムは光にとても敏感で、少しの光でもちゃんと反応します。 暗い部屋で写真を撮りたいとき、ISO 100だとシャッターを長く開けなければなりませ

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写真のしくみ ② 光の屈折とストローが水の中で折れて見える理由

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 前回は「光はまっすぐ進む」という性質だけで、影のしくみからカメラ・オブスクラの原理まで一気にたどりつきました。でも実は、光には「曲がる」瞬間があります。その現象の名前は屈折(くっせつ)。今回はこの屈折を追いかけて、ストローが水の中で折れて見える不思議から、ダイヤモンドの輝きの秘密まで駆け抜けましょう。 「あれ、ストローが折れてる!」 コップに水を入れて、ストローをさしてみましょう。横から眺めると、水面のところでストローがカクッと折れ曲がって見えます。もちろん、ストローは折れていません。引き抜けばまっすぐなままです。 プールに入ったことがある人なら、こんな経験もあるはずです。プールの底を見ると、なんだか浅く見える。「このくらいなら足がつきそう」と思って飛び込んだら、思ったより深かった。あるいは、水の中の自分の足が、妙に短く見えたことはないでしょうか。 これらはすべて、屈折が引き起こしている現象です。では、そのしくみをひとつず

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写真のしくみ ㉖ 銀の粒が光をとらえるフィルムのふしぎ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 デジタルカメラのなかには「センサー」と呼ばれる電子部品が入っていて、光を電気信号に変えて写真をつくります。では、デジタルカメラが生まれるずっと前、人々はどうやって写真を撮っていたのでしょうか。 答えは「フィルム」です。 フィルムは、うすいプラスチックのシートに特別な「塗りもの」をほどこしたもの。この塗りものの正体が、今回の主役、銀(ぎん)の化合物です。銀といえば、アクセサリーや食器に使われるあのピカピカした金属ですよね。じつはこの銀は、特定の元素と組み合わさって化合物になると、光に出会ったときにちょっとふしぎな変身をする性質をもっています。写真の歴史は、この銀の化合物の「光に弱い」性質を人間がうまく利用したところから始まりました。 フィルムの表面にあるもの フィルムの表面を顕微鏡でのぞくと、ゼリーのような透明な層のなかに、ものすごく小さなつぶつぶが無数にちらばっているのが見えます。この「つぶつぶ」の正体が ハロゲン化銀 と

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写真のしくみ ㉞ 映画の色はなぜ独特に見えるのか カラーグレーディングの基本

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 映画館で映画を観ていて、「なんだかふだんの景色とちがう色だな」と感じたことはありませんか。夜のシーンが青っぽかったり、砂漠のシーンがやけにオレンジだったり。じつはあの色は、カメラが勝手につけたものでも、照明だけで作ったものでもありません。撮影が終わったあとに、人の手で わざと 変えられているのです。 この回では、映画の色を操る カラーグレーディング という工程の世界をのぞいてみましょう。 映画の色は「ウソ」からはじまる 写真を撮ったあと、明るさや色味を調整することがありますよね。スマホの写真アプリでフィルターをかけるのもそのひとつです。映画の世界では、これをもっと大がかりに、もっと繊細に、もっと徹底的にやります。それが カラーグレーディング と呼ばれる工程です。 カラーグレーディングは、映画やドラマ、ミュージックビデオなど、ほぼすべてのプロの映像作品に施されています。グレーディングの前と後では、まるで別の作品のように印象が

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写真のしくみ ㉙ トーンカーブで写真の印象を自在に変える

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 写真を見て、「この写真、なんかカッコいいな」とか「ふんわりしていて気持ちいいな」と感じたこと、ありませんか? 同じ場所で、同じカメラで撮ったはずなのに、誰かの写真はドラマチックで、自分の写真はなんだかパッとしない。そんな経験をしたことがある人もいるかもしれません。実は、その「なんか違う」の正体のひとつが、今回のテーマ 「トーンカーブ」 です。 名前はちょっとむずかしそうですが、やっていることはとてもシンプル。この記事を読み終わるころには、「なるほど、そういうことか!」と思ってもらえるはずです。 写真の「トーン」って何だろう カメラで写真を撮ると、真っ黒から真っ白まで、さまざまな明るさが写ります。木の幹の暗い影、空に浮かぶ雲の白、その間にある何段階もの灰色。この 明るさのグラデーション のことを、写真の世界では 「トーン」 と呼びます。 ピアノの鍵盤を想像してみてください。

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写真のしくみ ㉜ 動画が動いて見える理由とフレームレートのしくみ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 パラパラ漫画で遊んだことはありますか? 教科書やノートのすみっこに、ちょっとずつ違う絵を描いて、パラパラッとめくる。棒人間が走ったり、ボールが飛んだり。きっとだれでも一度はやったことがあるのではないでしょうか。 このパラパラ漫画、じつはとんでもない発明の出発点です。映画も、テレビも、YouTubeも、TikTokも、スマホで撮る動画も、原理はぜんぶ同じ。「止まった絵を何枚もすばやく見せると、動いて見える」。たったこれだけのしくみで、世界中の映像はできています。 でも、ちょっと待ってください。止まった絵が「動いて見える」って、よく考えたら不思議だと思いませんか? 実はそのひみつ、カメラの中ではなく、きみの脳の中にあります。 きみの脳がだまされている パラパラ漫画が動いて見えるのは、きみの目と脳がチームプレーをしているからです。ふたつのすごい働きが関係しています。 働きその1「残像」 暗い部屋で懐中電灯をぐるぐる回す

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写真のしくみ ㉘ 赤い光の暗室でフィルムが写真になるまで

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 みなさんは「暗室」を見たことがありますか。映画やドラマで、赤い光がぼんやり灯った薄暗い部屋に、ロープのようなものに写真がぶらさがっている場面。お皿のような容器の中に浸した紙に、すうっと写真が浮かび上がってくる、あの不思議な光景です。 あの部屋の中では、いったい何が起きているのでしょうか。今回は、フィルムに閉じ込められた「目に見えない像」が化学の力で姿を現し、一枚の写真になるまでの冒険を追いかけます。 なぜ暗室は「赤い」のか 写真の暗室といえば、赤い光。まずはこの疑問から始めましょう。そもそも、わざわざ赤い光で照らす必要があるのでしょうか。ふつうの電気をつけたらダメなのでしょうか。 この疑問を解くには、「感光材料が何色の光に反応するか」を知る必要があります。 白黒写真のプリント(焼き付け)に使う印画紙(いんがし)という特別な紙には、光に反応して変化するハロゲン化銀(ハロゲンかぎん)という物質が塗られています。この印画紙のハ

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写真のしくみ ⑰ 光が遠くで暗くなる理由とストロボが届ける一瞬の光

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 夜道で懐中電灯を持って歩いたことはありませんか。足元はしっかり明るいのに、10メートル先を照らそうとすると、ぼんやりとしか見えません。「電池が弱いのかな?」と思うかもしれませんが、電池は関係ありません。光そのものに、離れれば離れるほど弱くなるという性質があるのです。 この回では、その「光が弱くなるルール」を知り、そのルールを逆手にとって暗い場所でも写真を撮れるようにする道具、ストロボ(フラッシュ)のしくみを見ていきましょう。 懐中電灯を遠くに向けると暗くなるのはなぜ? 懐中電灯の光は、まっすぐ一本の線のように飛んでいくわけではありません。スイッチを入れた瞬間から、光は少しずつ広がりながら進んでいきます。 壁に懐中電灯を向けてみるとわかりやすいでしょう。壁に近づけると、小さくて明るい丸ができます。壁から離れると、丸はどんどん大きくなりますが、そのぶん明るさは落ちていきます。 これは、光の「量」が増えたり減ったりしているわけ

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写真のしくみ ① 光の直進が影とカメラを生んだ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 写真の旅の出発点は「光」です。カメラがなくても、レンズがなくても、光のふるまいさえわかれば「写真が写るしくみ」の半分はもう手に入ったようなもの。この第1回では、光がもつとてもシンプルな性質、まっすぐ進む ということだけを手がかりに、影のできかた、そして世界最古のカメラ「ピンホールカメラ」の原理まで一気にたどりつきます。 光はまっすぐ進む 暗い部屋で懐中電灯をつけてみましょう。スイッチを入れた瞬間、光の筋がまっすぐに壁へ届きます。横へ曲がったり、途中でUターンしたりはしません。 これは「光の直進」とよばれる性質で、理科の教科書では最初のほうに出てくるおなじみのルールです。ふだんは意識しないかもしれませんが、この「まっすぐ」という事実が、これから先のレンズの話も、カメラの話も、写真の話も、ぜんぶ支えています。いわば写真の世界の土台中の土台です。 たとえば、夜の校庭で友だちが遠くから懐中電灯をこちらに向けたら、光はまっすぐ飛んで

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