光と写真
写真の物理学 ㊳ Log収録とシネマカラーサイエンス
📐写真の物理学シリーズ ㊳ このシリーズでは、写真にまつわる現象を物理学の言葉で記述する。「なんとなくそうなる」を「なぜそうなるか」に変換することが目的である。 映画制作の現場では、カメラの出力を「Log」で収録し、「LUT」を通して色を変換する。写真の世界ではRAW現像が当たり前になったが、動画の世界ではLogという独自の符号化体系が発展してきた。本稿では、Log収録がなぜ必要なのかをリニア符号化の物理的限界から説明し、ACES、各社Log曲線、LUT、カラーグレーディングの信号処理までを体系的に導出する。 リニア収録ではシャドーの階調が失われる 光電効果とフォトダイオードで述べたとおり、デジタルセンサーの応答は線形(リニア)だ。光量が2倍になれば出力信号も2倍になる。このリニアな信号をそのままデジタル値に符号化すると、深刻な問題が生じる。 10ビットのリニア符号化(1,024段階)で14ストップのダイナミックレンジ(ダイナミックレンジとビット深度参照)を記録する場合を考える。最も明るい1ストップ(最上位の露光域)は、コード値512から1,023までの512段階を占める。