光と写真
写真の物理学 ⑱ マクロ領域の光学
📐写真の物理学シリーズ ⑱ このシリーズでは、写真にまつわる現象を物理学の言葉で記述する。「なんとなくそうなる」を「なぜそうなるか」に変換することが目的である。 通常の撮影では像倍率はほぼゼロであり、薄肉レンズの結像公式は簡潔な近似で事足りる。ところが被写体がレンズに近づき倍率が無視できなくなると、実効F値は増大し、被写界深度は急激に浅くなり、回折の影響が深刻化する。本記事では、結像公式と倍率の定義を出発点に、マクロ領域で顕在化するこれらの光学的変化を体系的に記述する。 通常撮影からマクロへの連続的移行 像倍率 $m$ は物体距離 $a$ と像距離 $b$ の比 $m = b/a$ で定義される。結像公式から $b = f(1 + m)$、$a = f(1 + 1/m)$ が導かれる。 たとえば焦点距離 100 mm のレンズで 3 m 先の被写体を撮るとき、$m \approx 0.034$