ことばと文学
ゲルマン語の子音推移
📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 インド・ヨーロッパ語族からゲルマン語派が分岐する過程で、子音体系に大規模な変化が生じた。この変化はグリムの法則として知られ、さらにヴェルネルの法則による補正、そしてゲルマン語内部で生じた第二次子音推移を経て、英語とドイツ語の音韻的な差異を生み出した。本稿では、これらの子音推移の内容とその関係を整理する。 グリムの法則 19世紀初頭、ドイツの言語学者ヤーコプ・グリム(Jacob Grimm)は、インド・ヨーロッパ祖語からゲルマン語派への体系的な子音変化を記述した。これがグリムの法則(Grimm's Law)であり、第一次子音推移(First Germanic Sound Shift)とも呼ばれる。変化の内容は以下の三系列からなる。 無声破裂音から無声摩擦音へ インド・ヨーロッパ祖語の無声破裂音 *p, *t, *k は、ゲルマン語で無声摩擦音 *f, *θ, *x(のちに *h)へと変化した。 * ラテン語 pater(父)