Sakashita Yasunobu

Drawn to whatever quietly asks to be noticed. Each entry here is an attempt to hold something briefly before it changes — not to preserve it, but to acknowledge that it was once worth pausing for.

Japan
Sakashita Yasunobu

大学

ラッセル『哲学入門』第1章 現象と実在

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 バートランド・ラッセル『哲学入門』(The Problems of Philosophy, 1912)は、哲学の基本問題を平易に論じた古典的入門書である。本稿ではその第1章「現象と実在」の議論を追い、ラッセルが提起する問題の構造を整理する。 本稿での引用は、バートランド・ラッセル『哲学入門』(高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2005年)に拠る。ページ番号は本文中に丸括弧で示す。 1. テーブルは実在するのか 日常的に目にするテーブルの色や形は、状況によって変化する。この「見かけ」と、変化しない「実在」としてのテーブルは同じものなのだろうか。ラッセルは方法的懐疑からこの問いを立てる。 一見すると、テーブルは見たり触ったり叩いて音を聞いたりすることで、その存在を確かめられるように思える。しかしラッセルは次のように指摘する。 もし本当にテーブルが存在するのだとしても、それは直接経験されるものと同じではなく、見たり、触ったり聞いたりできないことが明らかにある。実在のテーブルが存在したとしても、そ

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大学

哲学は文学的表現を必要とするか

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 ウィトゲンシュタインは「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」と述べ、哲学における厳密性を重視した。哲学は曖昧さを排し、論理的に明晰な言語で真理を語るべきだという理想がそこにはある。 ところが皮肉なことに、この言葉自体が詩的で暗示的な響きを持っている。翻訳の問題ではない。仮に「語れないことについては語るな」と素っ気なく言い換えたとしても、なお示唆的な含意がそこに入り込んでしまう。こうして考えていくと、メルロ=ポンティが論じるサルトルの洞察、すなわち「最も無味乾燥な散文であっても常に若干の詩を含む」(メルロ=ポンティ『意味と無意味』)という事態が、あらゆる言語表現を覆っていることに気づかざるをえない。 結局のところ、これは哲学と文学的表現の関係という問題に集約される。哲学は本当に文学的表現を排除できるのか。それともむしろ、哲学はそれを必要としているのか。本稿では、哲学と文学の歴史的対立から出発し、哲学者自身の実践における矛盾、言語の本質的限界を経て、哲学における文学的表現の必然性について

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大学

メルロ=ポンティ『知覚の現象学』と身体の問い

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 はじめに 本稿が検討する問いは「身体は〈物〉なのか」である。 この問いに対する素朴な答えは「然り」であろう。身体は物質から構成されており、物理法則に従う。医学は身体を物質的対象として扱うことで成功を収めてきた。しかし、この素朴な答えに対して、メルロ=ポンティは異議を唱える。 ただし彼の議論を追う前に、問いそのものを吟味する必要がある。「身体は物か」と問うとき、私たちはすでに「物」と「物でないもの(意識)」という区別を前提としている。さらに、フランス語で身体を表す語 corps は同時に「物体」をも意味し、objet は「対象」であると同時に「客観」でもある。「身体は物か」という問いは、言語のレベルですでに物と身体を同一視する構造を含んでいる。メルロ=ポンティによれば、この区別自体が科学的抽象の産物であり、「生きられた世界」の上に構成されたものである。したがって本稿の課題は、「物か否か」

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技術

ストロボの出力表記

ストロボの出力表記には、主に分数表記と数値表記の2種類がある。それぞれの仕組みと、実際の撮影での使い勝手の違いを整理する。 分数表記 出力をフルパワーに対する比率で表す方式。1/1がフルパワーで、以降1/2、1/4、1/8と続く。 1/1 → 1/2 → 1/4 → 1/8 → 1/16 → 1/32 → 1/64 → 1/128 隣り合うステップ間が1段(1 stop)に対応し、光量がちょうど半分になる。中間値は機種によって1/3段刻みや1/10段刻みで調整できる(例: 1/16+0.3、1/16+0.7)。 分数がそのまま最大出力に対する割合を示すため、「今フルパワーの何分の1で発光しているか」が一目でわかる。

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技術

ナウいパスワード要件

2025年8月、米国国立標準技術研究所(NIST)は認証ガイドライン SP 800-63B Revision 4 を正式公開した。このガイドラインは米国連邦政府機関向けの技術要件だが、世界中のWebサービスやセキュリティ基準に広く影響を与えている。日本でも総務省やIPAがこのガイドラインを参照しており、一般ユーザーにとっても「正しいパスワードの作り方」を知る上で最も信頼性の高い情報源といえる。 本記事では、NIST SP 800-63B-4の原文に基づき、パスワードに関する要件を整理する。各セクション末尾の緑・黄色のボックスは、そこから導かれる一般ユーザー向けの実践ポイントである。 出典 本記事の内容は、以下の公式資料に基づく。 * NIST SP 800-63B-4(2025年8月1日発効、本記事参照版: 2025年8月26日更新): Digital Identity Guidelines: Authentication and Lifecycle Management * 総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト」: 安全なパスワードの設定・管理 * IPA

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大学生活

おそらく人生でもっとも暇な時を過ごす君たちへ

大学受験を終えた高校生。就活を早々と終えた大学生。 何年ものあいだ、勉強や準備に打ち込んできたのだろう。結果がどうであったにせよ、まずはお疲れ様だ。 これから過ごす時間は、おそらく君たちにとって素晴らしい、かけがえのない時間になる。もちろん、そうなるように日々を過ごしていくのは君たち自身だけれど、それでも「やっぱり違った」というなら、そのときは一言文句を言ってくれて構わない。 まだ後期の試験を控えている人、来年に向けてもう一年頑張らなければいけない人もいるだろう。心から応援している。 たぶん人生の前半で、今がもっとも暇で、もっとも目的がなく、もっとも圧力がない。あらゆる意味でもっとも解放された自由な時間だ。人生全体を見渡しても、こうした時間はそう何度も訪れるものではない。 で、大事なのは、この時間をどう使うかだ。 おすすめは美術館に行くことである 唐突だと思う。 普段から美術館に足を運ぶ趣味をお持ちの方には、釈迦に説法だろう。そういう方にはぜひ、お気に入りの過ごし方を教えていただけると嬉しい。 さて、美術と聞くと、なんだか遠い世界のように感じないだろうか。 現代ア

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技術

NLLB-200をLoRAで日英翻訳に特化させた話

はじめに 言語処理100本ノック 2025 (Rev 1)は、東北大学の乾・鈴木研究室が公開している自然言語処理(NLP)の演習問題集である。UNIXコマンドによるテキスト処理、正規表現、形態素解析、単語ベクトル、ニューラル機械翻訳など、全100問を通じてNLPの基礎から応用までを体系的に学ぶことができる。 言語処理100本ノック言語処理100本ノックは、実用的でワクワクするような課題に取り組みながら、自然言語処理、大規模言語モデル、プログラミング、研究のスキルを楽しく習得することを目指した問題集です。言語処理100本ノック 2025 本記事では、第10章の課題であるニューラル機械翻訳モデルの構築について、実装の詳細と得られた知見を記録する。 💡事前学習済み翻訳モデル NLLB-200 に LoRA(Low-Rank Adaptation)を適用し、KFTTデータでファインチューニング。Google Colab(A100 GPU)で約3.5時間の学習により、テストデータで BLEU 22.09 を達成した。 課題「自分だけの翻訳エンジンを作る」 KFTTデータセット

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大学

卒業要件チェッカー

🎓 卒業要件チェッカー 高知大学 人文社会科学部 人文科学コース(令和2〜5年度入学生) 📄 CSVファイルをここにドラッグ&ドロップ またはクリックしてファイルを選択 何ができるか 高知大学 人文社会科学部 人文科学コース(令和2〜5年度入学生)の卒業要件を自動チェックするブラウザツール。 成績データをCSVで読み込ませると、共通教育・ゼミナール・プラットフォーム・選択科目の各区分について充足状況を判定する。ゼミ超過分やPF超過分の選択科目への読替、他コース+他学部の16単位制限、他学部の8単位上限も自動で処理される。 すべての処理はブラウザ内で完結する。成績データがサーバーに送信されることはない。 使い方 1. Excelで成績CSVを作る(後述) 2. 上のエリアにドラッグ&ドロップ、またはクリックしてファイル選択 3. 判定結果が即座に表示される CSVの準備 作り方 1. Excelで新規ブックを開く 2. 1行目にヘッダーを入力: A1に 科目名、B1に 科目分類、C1に

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大学

Nikon テザー撮影ライブビュー対応比較

Nikon純正のテザー撮影ソフトウェア「NX Tether」では、一部のカメラがライブビュー機能に対応していない。しかし、Capture Oneのテザー撮影機能を使えば、それらのカメラでもライブビューを利用できる場合がある。本記事では、各ソフトウェアの公式情報をもとに対応状況を整理する。 NX Tetherの対応状況 Nikonのサポート記事(記事ID 000046076、2025年10月23日更新)によると、NX Tetherは以下のカメラに対応している。 * ミラーレスカメラ: Z9 / Z8 / Z6III / Z7II / Z6II / Z7 / Z6 / Z5II / Z5 / Zf / Z50II / Z50 / Z30 / Zfc * シネマカメラ: ZR * デジタル一眼レフカメラ: D6 / D780 ただし、以下の5機種は NX Tetherのライブビュー機能に非対応 である。 * Z5 * Z30 * Z50 II * Z50

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技術

科学的に「後光」を再現する方法を真面目に検討してみた

🔬この記事について 宗教美術に描かれる「後光」の視覚表現をきっかけに、「人体が自力で発光できるとしたら物理的にどうなるか」を検討するくだらない思考実験です。特定の宗教・信仰を揶揄・批判する意図は一切ありません。核関連の歴史的事故に言及する箇所は、事実の記録として敬意をもって記載しています。 宗教画や仏像には、聖人や仏が身体から光を放つ「後光」の描写がしばしば登場する。 あの後光を科学的に再現するにはどうすればいいのだろうか。それも非常灯みたいな情けない光ではなく、できれば太陽のように堂々と。もちろん生きたまま。一瞬光っただけのおじさんで終わるのは避けたい。 この壮大にくだらない問いを、発光の物理メカニズム別に真面目に検討してみた。 高エネルギー発光メカニズムの検討 まずは派手な方法から順に見ていこう。結論を先に言えば、全部死ぬ。 1. 黒体放射(熱で光る) あらゆる物体は温度に応じた電磁波を放射している(黒体放射 [1])。ウィーンの変位則 [2] によれば、放射スペクトルのピークが可視光域(約500 nm)に来るのは約5,800 K。太陽の表面温度(約5,778

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技術

Godox DPIIIの初回発光が明るすぎる問題

Godox DPIIIシリーズ(筆者の使用機材はDP600III-V)を使用していて、電源投入後の初回発光が設定出力よりも明るくなる現象に気づいた。調べたところ、製品マニュアルに原因と対処法に該当する記載があった。 現象 電源を投入し、出力を任意の値(例えば1/64)に設定した状態で発光させると、初回の発光だけが設定値よりも明らかに明るい。2回目以降は設定通りの出力で発光する。電源投入後にしばらく待ってから発光しても結果は変わらない。 原因 スタジオストロボは、内部のコンデンサに蓄えた電気エネルギーを放電して発光する。DPIIIシリーズでは、出力設定に応じてコンデンサの充電量が制御される。 この仕組みについて、製品マニュアルの「Power Output Control」の項に以下の記載がある。 Press the test button to discharge power when the flash output is adjusted from high to low. (高出力から低出力に変更した場合は、テスト発光ボタンを押して放電する必要がある。) God

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光と写真

スタジオ撮影における露光ムラの原因と対策

概要 自宅スタジオでの撮影中、画面下部が暗くなる露光ムラが発生した。原因は、スタジオストロボ(Godox DP600III-V)の閃光時間がフォーカルプレーンシャッターの幕走行時間に対して長いことにある。シンクロ速度(X=1/200s)付近では後幕走行中もストロボの閃光テールが残存しており、後幕が最初に到達するセンサー上端(=画面下端)の受光量が不足する。SS=1/125s以下に設定することで均一な露光が得られる。 機材と撮影設定 カメラはNikon Z5を使用した。シャッターは電子制御上下走行式フォーカルプレーンシャッターで、同調速度はX=1/200s、シャッターモードは電子先幕シャッター(EFCS)である。ストロボはGodox DP600III-Vで、閃光時間(t=0.5)はフル出力で1/800s、最低出力で1/2000s、出力範囲は1/64から1/1。トリガーにはGodox X2T-Nを使用した。絞りはf/13で撮影している。 症状 SS=1/200s(

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