光と写真
写真の物理学 ⑩ 露出の統合と逆数則
📐写真の物理学シリーズ ⑩ このシリーズでは、写真にまつわる現象を物理学の言葉で記述する。「なんとなくそうなる」を「なぜそうなるか」に変換することが目的である。 絞り、シャッター速度、ISO感度。この三者が露出を決定することは広く知られている。だが三者を統一的に扱う数学的枠組みは意外と語られない。本記事では、露出の三角形を定量的に記述したうえで、その前提にある「相反則」の物理的な成立条件と破綻のメカニズムに踏み込む。 露出値(EV)の定義と対数スケールの物理的合理性 写真における露出の議論は、つねに「倍」と「半分」の言葉で進む。絞りを1段開ければ光量は2倍、シャッター速度を1段速くすれば光量は半分。この事実は偶然ではない。人間の感覚器官が写真の物理学 ㊼ 視覚の知覚心理物理学で体系的に論じるウェーバー・フェヒナーの法則に従い、刺激の対数にほぼ比例した知覚量を生じるという心理物理学的事実の反映である。この知覚法則が写真のトーン再現にもたらす帰結は写真の物理学 ㉝ ガンマとトーンカーブの知覚心理物理学で詳述する。 10 cd/m² の輝度と 20 cd/m² の輝度の差は、10