光と写真
レンズは一本でいい
カメラを買うと、たいていキットレンズがついてくる。標準ズーム、だいたい焦点距離18mmから55mm、開放F値は3.5から5.6あたり。便利だ。広角から中望遠までカバーして、とりあえず何でも撮れる。「初心者はまずキットレンズで十分」。よく聞く言葉だ。 十分なわけがない。 写りはレンズで決まる カメラの画質を左右する要素は多い。センサーサイズ、画像処理エンジン、撮影設定。しかし、光がセンサーに届く前に通過するのはレンズだ。どれだけ優秀なセンサーを積んでいても、レンズが光を正確に導けなければ意味がない。 ズームレンズは、複数の焦点距離で一定以上の画質を出すことを要求される。広角端の歪曲収差を抑えれば望遠端の色収差が目立ち始めるといった具合に、設計上のトレードオフが避けられない。キットレンズは、その妥協の集大成だ。低コストで幅広い焦点距離をカバーするために、光学性能のあらゆる面で少しずつ譲歩している。 単焦点レンズは違う。ひとつの焦点距離だけに最適化されている。収差の補正、コントラスト、解像感、そのすべてを一点に集中させて設計できる。同価格帯で比較しても、単焦点レンズがズームレンズ