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光と写真

写真のしくみ ⑰ 光が遠くで暗くなる理由とストロボが届ける一瞬の光

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 夜道で懐中電灯を持って歩いたことはありませんか。足元はしっかり明るいのに、10メートル先を照らそうとすると、ぼんやりとしか見えません。「電池が弱いのかな?」と思うかもしれませんが、電池は関係ありません。光そのものに、離れれば離れるほど弱くなるという性質があるのです。 この回では、その「光が弱くなるルール」を知り、そのルールを逆手にとって暗い場所でも写真を撮れるようにする道具、ストロボ(フラッシュ)のしくみを見ていきましょう。 懐中電灯を遠くに向けると暗くなるのはなぜ? 懐中電灯の光は、まっすぐ一本の線のように飛んでいくわけではありません。スイッチを入れた瞬間から、光は少しずつ広がりながら進んでいきます。 壁に懐中電灯を向けてみるとわかりやすいでしょう。壁に近づけると、小さくて明るい丸ができます。壁から離れると、丸はどんどん大きくなりますが、そのぶん明るさは落ちていきます。 これは、光の「量」が増えたり減ったりしているわけ

By Sakashita Yasunobu

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写真のしくみ ① 光の直進が影とカメラを生んだ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 写真の旅の出発点は「光」です。カメラがなくても、レンズがなくても、光のふるまいさえわかれば「写真が写るしくみ」の半分はもう手に入ったようなもの。この第1回では、光がもつとてもシンプルな性質、まっすぐ進む ということだけを手がかりに、影のできかた、そして世界最古のカメラ「ピンホールカメラ」の原理まで一気にたどりつきます。 光はまっすぐ進む 暗い部屋で懐中電灯をつけてみましょう。スイッチを入れた瞬間、光の筋がまっすぐに壁へ届きます。横へ曲がったり、途中でUターンしたりはしません。 これは「光の直進」とよばれる性質で、理科の教科書では最初のほうに出てくるおなじみのルールです。ふだんは意識しないかもしれませんが、この「まっすぐ」という事実が、これから先のレンズの話も、カメラの話も、写真の話も、ぜんぶ支えています。いわば写真の世界の土台中の土台です。 たとえば、夜の校庭で友だちが遠くから懐中電灯をこちらに向けたら、光はまっすぐ飛んで

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写真のしくみ ㉕ 暗い写真がザラつく理由とノイズの正体

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 夜の街を撮った写真、薄暗い部屋で撮った友だちの写真。あとからスマホやパソコンで拡大してみると、なんだかザラザラしていることがあります。このザラザラの正体が ノイズ です。ノイズはなぜ生まれるのか、どうすれば減らせるのか。今回はその秘密をとことん追いかけてみましょう。 暗い写真がザラザラする 暗い場所で撮った写真を思いきり拡大してみてください。本来なめらかなはずの空や壁に、赤や青や緑のつぶつぶが浮いているのが見えるはずです。 ノイズは英語で「雑音」という意味です。音楽を聴いているときにまじるザーッという雑音と、写真のザラザラは、名前だけでなく原理もよく似ています。どちらも、「本来の信号に対して、いらない情報がまじってしまう」現象だからです。 では、どうしてデジタル写真にノイズが出るのでしょう? それを知るには、まずカメラのセンサーがどうやって光を記録しているかを思い出す必要があります。 光の粒をかぞえる仕事 デジタルカ

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写真のしくみ ⑤ レンズが世界をひっくり返す理由とボケの正体

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 カメラの中では、世界がひっくり返っています。 いきなり何を言い出すんだ、と思うかもしれません。でもこれは本当の話です。カメラのレンズを通って中に入ってきた光は、上下も左右も入れ替わった像をつくります。あなたの顔を撮った瞬間、カメラの中ではあなたの顔はさかさまになっているのです。 なぜそんなことが起きるのでしょう。今回は虫めがね1枚と白い紙を使って、その秘密を一緒に解き明かしていきましょう。 虫めがねで「逆さまの世界」を映してみよう 🔍やってみよう! 虫めがねと白い紙を1枚ずつ用意しましょう。晴れた日に窓のそばに行き、片手で虫めがねを持って、もう片方の手で白い紙をかざします。虫めがねと紙のあいだの距離をゆっくり変えてみてください。あるところで、窓の外の景色が紙の上にくっきり映る瞬間があります。 うまく映りましたか。よく観察してみてください。紙に映った景色は逆さまになっているはずです。 木は下に向かって生え、空は足元に広

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写真のしくみ ㉛ 白飛びを救うHDRとトーンマッピング

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 窓の外は真っ白、部屋の中は真っ暗 教室で友だちの写真を撮ろうとしたこと、ありますか。 友だちの顔がきれいに写るように明るさを合わせると、窓の外が真っ白にぶっ飛ぶ。逆に、窓の外の景色をきれいに撮ろうとすると、友だちが真っ暗なシルエットになる。目で見ると、友だちの顔も窓の外もどっちもちゃんと見えているのに、カメラで撮るとどちらかが犠牲になる。なんでこうなるのでしょう。 答えは、カメラの「目」は、人間の目ほど明暗の差に対応できないから。 カメラが一度に記録できる「いちばん暗いところ」から「いちばん明るいところ」までの幅には限界があります。この幅のことを、写真の世界ではダイナミックレンジと呼びます。そして今回の主役、HDRは、このダイナミックレンジの限界を乗りこえるための知恵です。 ダイナミックレンジは「バケツの大きさ」 ダイナミックレンジをたとえるなら、バケツの大きさです。 小さなバケツでは、少し水を入れただけであふれて

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写真のしくみ ⑱ 影でわかるやわらかい光とかたい光

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 影がくっきりする日もあれば、ぼんやり消えてしまう日もある。同じ自分なのに、どうして影がこんなに変わるのでしょう。その答えは、光の「かたさ」にあります。今回は影を手がかりにして、写真撮影でとても大切な概念、「やわらかい光」と「かたい光」のちがいとその正体に迫ります。 きみの影で遊んでみよう 晴れた日の昼休み、校庭に立ってみてください。足元を見ると、くっきりとした自分の影がうつっています。輪郭がはっきりしていて、指を広げれば指のかたちまで影にちゃんと見えます。 では、曇りの日はどうでしょう。同じ場所に立っても、影はぼんやり薄くて、よく見ないとどこにあるかわからないくらいです。 同じ「自分」なのに、影がこんなにちがう。この差を生んでいるのは、光のかたさです。今回は、影を手がかりにして、光の正体にせまっていきましょう。 かたい光 晴れた日の太陽が照らす光を、写真の世界ではかたい光(ハードライト)と呼びます。 かたい光がつく

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写真のしくみ ㉓ 光を電気に変えるイメージセンサーと画素のはたらき

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 フィルムが化学の力で光を記録するなら、デジタルカメラは何の力で光をとらえているのでしょう。答えは「電気」です。今回は、光を電気信号に変換するイメージセンサーのしくみから、画素数とセンサーサイズが画質に与える影響、アナログの光がデジタルデータに姿を変える瞬間まで、一気にたどっていきます。 デジタルカメラの心臓部、イメージセンサー デジタルカメラの中をのぞいたことはありますか? ミラーレスカメラならレンズを外すだけで、奥にキラリと光る小さな四角い板が見えます。一眼レフカメラなら、ミラーを跳ね上げたその先にあります。この小さな板がイメージセンサーです。 フィルムカメラの時代、まったく同じ場所にフィルムがありました。フィルムは光を受けて化学変化を起こし、像を記録していました。イメージセンサーはフィルムと同じ場所に座り、同じ「光を記録する」という仕事をしています。ただし、やり方がまるで違います。フィルムが「化学」の力で像をとらえるのに

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写真のしくみ ㉝ 映画がなめらかに動く秘密はモーションブラーと180度ルールにあった

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 映画を見ているとき、動きは自然でなめらかに感じられます。でも一時停止してみると、動いている部分がぼんやりとブレていることに気づきます。このブレは、失敗でもノイズでもありません。今回は、映像の「なめらかさ」の正体であるモーションブラーと、その量を決める映画業界の経験則180度ルールのしくみをひも解いていきます。 映画を「一時停止」してみよう きみのお気に入りの映画を再生して、人が走っているシーンで一時停止ボタンを押してみてください。じっくり画面を見ると、走っている人の手足がぼんやりと引き伸ばされたように写っているのがわかるはずです。背景の静かな建物はくっきりしているのに、動いている部分だけがブレている。 このブレのことを モーションブラー(motion blur) といいます。日本語にすると「動きによるブレ」。写真を撮るときにカメラを動かしてしまって写真がブレた、あの「手ブレ」と原理は同じです。シャッターが開いている間に被写体

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写真のしくみ ㉑ 朝日と蛍光灯の色がちがう理由は「色温度」にあった

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 朝、カーテンを開けると、部屋に差し込む太陽の光はうっすらオレンジ色をしています。同じ日の昼間に外に出ると、太陽の光はまぶしいくらいに白い。夜になって部屋の蛍光灯をつけると、今度はなんだか青白い。 同じ「白い光」のはずなのに、色がちがう。いったいどういうことでしょう? この回では、光の色のちがいを「温度」で表す 色温度 という考え方と、カメラがそのちがいにどう対処しているかを見ていきます。 そもそも「白い光」って本当に白いの? 私たちの目はとても賢くできています。白い紙を朝日の下で見ても、蛍光灯の下で見ても、「白い紙だな」と感じる。でも実は、朝日に照らされた白い紙はオレンジがかっているし、蛍光灯の下の白い紙は少し青みがかっています。 ためしに、夕方の部屋で蛍光灯をつけて窓の外を見てみてください。窓の外の夕日に照らされた景色はオレンジ色なのに、部屋の中は青白い。同じ「白い光」が、場所によってまるでちがう色をしています。 人

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写真のしくみ ⑭ ボケの大きさを決める3つの要素とスマホでボケにくい理由

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 背景がとろけるように美しくぼけた写真を見て、「自分もあんなふうに撮りたい」と思ったことはありませんか。 前回と前々回で、ピントが合うとはどういうことか、そしてボケの正体が「錯乱円」という光の円であることを見てきました。レンズは、ある一つの距離にある被写体をセンサーの上にぴたりと結像させますが、その距離から外れた場所にあるものは「ぼんやりした円」として写ります。 では、このボケを大きくするにはどうすればいいのでしょうか。逆に、小さく抑えるには? 実は、ボケの大きさを左右する要素は、大きく 3つ あります。 * 絞り(F値) * 被写体までの距離 * 焦点距離 この3つをうまく使いこなせれば、写真のボケは思いのままです。一つずつ、順番に見ていきましょう。 要素その1 絞り(F値)が小さいほど、ボケは大きくなる まずは「絞り」のおさらい 絞りとは、レンズの中にある「光の通り道の大きさを変えるしくみ」

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写真のしくみ ⑬ 背景がとろけるボケの正体は「光の円」だった

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 写真を撮ったとき、人物の顔はくっきり写っているのに、その後ろの景色がふわっととろけたようになっていることがあります。あの「ふわっ」の正体、気になったことはありませんか。 あれがボケです。 カメラ好きの人たちが「このレンズ、ボケがきれいだなあ」とうっとり語るあの「ボケ」。実はこれ、光がちょっとしたいたずらをした結果なんです。今回は、ボケがどうやって生まれるのか、その正体を光の「円」から読み解いていきましょう。 ピントが合わない光は「円」になる まず、ピントが合うとはどういうことか、思い出してみましょう。 レンズの仕事は、光を一点に集めることです。遠くの小さな光、たとえば夜の街灯を思い浮かべてみてください。レンズがピントをぴったり合わせると、街灯から来た光はセンサー(フィルムでも同じです)の上で、キュッと小さな一点に集まります。これが「ピントが合っている」状態です。 では、ピントが合っていない場所から来た光はどうなるでしょ

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写真のしくみ ⑧ 圧縮効果の正体は望遠レンズではなく撮影距離だった

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 テレビで野球中継を見たことはありますか。バッターボックスに立つ打者と、マウンドにいるピッチャー。画面の中では、ふたりがすぐそばに並んでいるように見えます。でも実際には、ピッチャーとバッターのあいだは約18.44メートルも離れています。学校の25メートルプールの4分の3くらいの距離です。 なのに、テレビの画面ではほとんど隣どうし。不思議ですよね。 「望遠レンズが空間を圧縮するからだよ」と説明されることがあります。たしかに結果だけ見ればそう見えます。でも、この説明には大事なピースが抜けています。望遠レンズが空間をギュッと押しつぶしているわけではないのです。 じゃあ、なにが起きているのでしょうか。今回はその「なぞ」を解き明かしていきます。 広角と望遠で写真の「感じ」が変わる まず、よく言われる現象を整理しておきましょう。 広角レンズ(たとえば24mmや28mm)で撮ると、手前のものがグッと大きく写り、奥のものはずっと小さく遠

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