光と写真
写真の物理学 ㊲ シャッターアングルとモーションブラー
📐写真の物理学シリーズ ㊲ このシリーズでは、写真にまつわる現象を物理学の言葉で記述する。「なんとなくそうなる」を「なぜそうなるか」に変換することが目的である。 映画を観ていて「映画っぽい」と感じる動きの質感は、被写体が各フレームに残すモーションブラーの量に由来する。その量を決定するのがシャッターアングルであり、フィルム映画カメラの回転シャッターから生まれたこの概念は露光時間とフレームレートの比率を角度で表現する。本稿では、シャッターアングルがモーションブラーの幾何学と運動知覚をどう規定するかを物理的に記述する。 回転シャッターの物理 フィルム映画カメラでは、フィルムゲートの前に円盤状のシャッターが置かれている。この円盤はフレームレートと同期して回転し、円盤に設けられた開口部がフィルムゲートの前を通過する間だけ光がフィルムに到達する。開口部が通り過ぎると円盤の不透明な部分がフィルムを遮光し、その間にフィルムが1コマ分送られる。次の開口部が来ると、新しいコマへの露光が始まる。 この開口部の角度がシャッターアングルである。円盤全体を360°としたとき、開口部が占める角度で露光時