光と写真
写真の物理学 ⑧ 絞りと有効口径の物理的意味
📐写真の物理学シリーズ ⑧ このシリーズでは、写真にまつわる現象を物理学の言葉で記述する。「なんとなくそうなる」を「なぜそうなるか」に変換することが目的である。 「明るいレンズ」、「暗いレンズ」という区別は、F値という一つの数に集約される。だが、なぜ焦点距離を口径で割っただけの無次元量がセンサー面の明るさを決定するのか。本記事では、立体角と照度の物理からF値の意味を導き、有効口径の定義から極端に明るいレンズが直面する光学的困難までを扱う。 有効口径とは何か レンズの「口径」は前玉の物理的な直径ではない。光学系が集める光束の幅を実質的に決定するのは開口絞り(aperture stop)であり、この絞りを物体側から光学系を通して見たときの像を入射瞳(entrance pupil)と呼ぶ。入射瞳の直径 $D$ が有効口径である。 有効口径が重要なのは、物体空間から見た光学系の「窓」の大きさを決めるのがこの量だからである。被写体から発せられた光のうち、入射瞳を通過する光束だけがセンサーに到達する。 $D$ が大きいほど、より多くの光を集められる。同じ原理は人間の眼の光学にも成り立ち