ことばと文学
場所はどのようにつくられるのか
📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 「場所」を問い直す 朝、寝室で目を覚まし、食堂で朝食をとり、学校や職場へ向かう。帰りにスーパーへ寄り、家に戻る。私たちは毎日「場所」を舞台にして暮らしているが、場所そのものについて考えることはほとんどない。 森正人『誰が場所をつくるのか』(新曜社、2024年)は、その当たり前の「場所」を問い直す一冊である。副題に「ポストヒューマニズム的試論」と掲げられた本書によれば、場所は最初から存在する自明の所与ではなく、特定の時空間において人間と「人間あらざるもの」の相互作用によって構成される動的な過程である。場所論は人文地理学の中心的な主題であり、1970年代以降さまざまな理論的展開を経てきた。本書はその展開を丹念にたどりながら、近年のポスト人間中心主義の思潮を取り込んで場所概念の刷新を試みている。 本稿では、まず本書の議論を整理したうえで、理論的な観点から二つの問題点を指摘する。第一に、社会的構築主義とポスト人間中心主義の間に存在する緊張関係について。第二に、「場所はつねに変化し続ける過程である