おぼえ
デカルトにおける表象的実在性と形相的実在性
📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 デカルトは『省察』第三省察において、「表象的実在性」(realitas objectiva)と「形相的実在性」(realitas formalis)という区別を導入する。この概念装置は、観念の分析から神の存在証明へと至る議論の鍵となるものである。 第三省察の文脈 デカルトは第一省察で方法的懐疑を遂行し、第二省察で「私は考える、ゆえに私は存在する」(コギト)を確立した。しかし、この段階ではデカルトは独我論の立場にとどまっている。確実なのは自分の存在と思惟作用だけであり、外的世界の存在はいまだ保証されていない。 デカルトが次に取り組むのは、「欺く神」の想定によって数学的真理までも疑わしくなった事態において、「神は存在するかどうか」、「存在するとするならば欺瞞者ではないかどうか」を検討することである(小林道夫『哲学の歴史 第5巻』、217頁)。この検討のためにデカルトが展開するのが「結果からの(ア・ポステリオリな)証明」と呼ばれる神の存在証明であり、その核心に表象的実在性と形相的実在性の区別が