大学生活
誰も決めていないのに決まっている席についての考察
教室に入る。席は空いている。どこに座ってもいい。 その「どこでもいい」はずの選択に、妙な緊張が走ることがある。前列に座れば真面目だと思われるかもしれない。最後列に座れば、やる気がないと思われるかもしれない。中段のやや端、誰の視界にも入りにくい場所に、気がつけば足が向いている。 意識しているかどうかにかかわらず、教室には座席をめぐる暗黙の秩序がある。 前列の重力 教室の最前列に座る学生には、ある傾向が見られる。教員の声がよく聞こえる。板書が見やすい。質問がしやすい。物理的な距離の近さが、授業への関与度を高める。 座席位置と学業成績の間に正の相関があることは、複数の研究で示されている。前方に座る学生ほどGPAが高い傾向がある。しかし、ここで因果関係を読み取るのは早い。 前に座るから成績が上がるのか。成績が高い学生が前に座る傾向があるのか。この区別は重要だ。ベネディクトとホーキンスの2010年の研究では、座席をランダムに割り当てた場合、座席位置と成績の相関は大幅に弱まった。つまり、前列に座ること自体が成績を押し上げるのではなく、前列を選ぶ学生と高い成績を出す学生が、もともと同じ