Sakashita Yasunobu

Drawn to whatever quietly asks to be noticed. Each entry here is an attempt to hold something briefly before it changes — not to preserve it, but to acknowledge that it was once worth pausing for.

Japan
Sakashita Yasunobu

光と写真

写真のしくみ ⑪ 暗い場所でも明るく撮れるISO感度と露出の三角形

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 夜の街、室内のパーティー、薄暗い水族館。暗い場所で写真を撮ると、思ったよりずっと暗く写ってしまうことがあります。「もっと明るく撮れないのかな?」と思ったことはありませんか? この回では、その「もっと明るく」を実現するための道具、ISO感度(アイエスオーかんど)のしくみを解き明かします。さらに、カメラが写真の明るさを決めるために使っている3つの道具の関係、通称 「露出の三角形」 まで一気にたどりつきましょう。 暗いところで写真が撮れない! 写真が写るには「光」が必要です。明るい場所にはたくさんの光があるから、カメラは楽に写真を撮れます。でも暗い場所では光が少ないので、カメラに届く光の量も少なくなります。 光が足りないまま撮ると、写真は暗くなってしまいます。まるで、かすかな声を聞き取ろうとしているようなものです。声(光)が小さすぎて、うまく聞こえない(写らない)というわけですね。 ではどうすればいいでしょう? 方法は大きく分

By Sakashita Yasunobu

光と写真

写真のしくみ ⑦ センサーサイズで画角が変わる理由とフルサイズ換算のしくみ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 同じレンズをつけているのに、カメラを変えたら写真に写る範囲が変わった。そんな経験をしたことはありませんか? あるいは、カメラのカタログで「フルサイズ換算○○mm相当」という表記を見て、首をかしげたことはないでしょうか。今回はその正体、センサーサイズと画角の関係を一緒に解き明かしていきましょう。 いきなり実験! 同じレンズなのに写る範囲がちがう? ちょっと想像してみてください。ここに2台のカメラがあります。1台は「フルサイズ」と呼ばれるカメラ。もう1台は「APS-C」と呼ばれるカメラです。 この2台に、まったく同じレンズをつけます。同じ場所に立って、同じ景色にレンズを向けて、シャッターを切ります。 さあ、撮れた写真を並べてみると……あれ? 写っている範囲がちがう。 フルサイズで撮ったほうが景色を広く写していて、APS-Cで撮ったほうはまるで少しズームしたかのように、狭い範囲だけが大きく写っています。 レンズは同じなのに、い

By Sakashita Yasunobu

光と写真

写真のしくみ ㊳ 目とカメラはそっくりなのになぜ写真と見た目は違うのか

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 前回は、画面や紙の上で写真の色がどう再現されるかを見ました。今回は視点をぐるりと変えて、写真を「見る」側、つまり人間の目のしくみに迫ります。 きみは今、この文章を読んでいます。 当たり前のことですが、ちょっと立ち止まって考えてみてください。きみの目は、どうやってこの文字を「見て」いるのでしょう? じつは、目のしくみをよく調べてみると、カメラとびっくりするほど似ていることがわかります。でも、決定的にちがうところもある。今回は、「見る」という行為の正体にせまっていきましょう。 カメラのパーツと目のパーツを並べてみよう カメラの基本的なしくみを思い出してみてください。レンズが光を集めて、絞りが光の量を調節して、センサー(またはフィルム)が光を記録する。この3つが写真を撮るための基本セットでした。 人間の目にも、この3つにあたるパーツがちゃんとあります。 角膜と水晶体 → レンズ 目の一番外側にある透明な膜を「角膜(かくま

By Sakashita Yasunobu

光と写真

写真のしくみ ㊱ 虹・ハロ・逃げ水・光芒が生まれるしくみと撮り方

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 雨あがりの空にかかる虹、太陽のまわりにぽっかり浮かぶ光の輪、夏の道路にキラキラ現れる幻の水たまり、雲のすきまから降りそそぐ光のカーテン。 ふだん何気なく「きれいだなあ」と眺めている空の現象には、どれもちゃんとした理由があります。しかも、そのしくみはびっくりするほどシンプルです。光がまっすぐ進み、何かにぶつかって曲がったりはね返ったりする。たったそれだけのルールで、これだけドラマチックな光景が生まれるのです。 今回は、虹・副虹・ハロ・逃げ水・光芒という5つの「空のふしぎ」を追いかけてみましょう。 虹のひみつ 雨あがりの空に大きなアーチを描く虹。あの美しい色のならびは、いったいどうやって生まれるのでしょうか。 雨つぶは小さなプリズム 理科の授業でプリズム(三角柱のガラス)に白い光を通すと、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の色に分かれるのを見たことはありませんか。虹が生まれるしくみは、まさにあのプリズムと同じです。ただし、プリズ

By Sakashita Yasunobu

光と写真

写真のしくみ ㉟ 空の青と夕焼けの赤を生む光の散乱

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 空を見上げてみてください。 昼間はまっさおな青。夕方になると燃えるようなオレンジや赤。朝焼けはやさしいピンクで、曇りの日の雲は白、雨雲はどんよりした灰色。同じ空なのに、こんなにも色が変わるのはなぜでしょう? じつはこの秘密、ぜんぶ「光の散乱」というひとつのしくみで説明できてしまいます。今回は、空の色の正体をいっしょに追いかけていきましょう。 太陽の光は「白」じゃない まず、大前提の話から始めましょう。 ふだん何気なく浴びている太陽の光。あれは「白い光」だと思っている人が多いかもしれません。けれど、太陽の光をプリズム(三角柱のガラス)に通すと、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫と、虹のようにたくさんの色に分かれます。ニュートンが17世紀にやった有名な実験です。つまり太陽の光は、いろいろな色の光が全部混ざった「ごちゃまぜの光」なのです。 色の正体は、

By Sakashita Yasunobu

光と写真

写真のしくみ ③ 虹が7色に分かれる理由と目に見えない光の正体

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 太陽の光は何色でしょうか。「白」、あるいは「とくに色はついていない」と答える人がほとんどだと思います。ところが、その白い光の中には、赤から紫まで虹のすべての色がこっそり隠れています。それだけではありません。人間の目には絶対に見えない「光」さえ存在するのです。 今回は、光の「色」の正体をさぐり、虹がなぜあんなにきれいに色分かれするのかを解き明かしていきます。そして最後には、目に見えない光の世界にも足を踏み入れてみましょう。 白い光をプリズムで分解する 文房具屋やインテリアショップで、三角柱の形をした透明なガラスを見たことはありませんか。あれをプリズムといいます。 このプリズムを窓辺に持っていって、太陽の光を通してみましょう。すると、壁や床の上に、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫と並んだ色の帯がふわっと現れます。白かったはずの光が、色とりどりに分かれたのです。 🔬この実験を世界で初めて体系的に行い、記録に残したのが、イギリスの科

By Sakashita Yasunobu

光と写真

写真のしくみ ㊵ 写真のすべては光でつながっている

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 いよいよ最終回です。全40回にわたって続いてきた「写真のしくみ」の旅も、今回でおしまい。 第1回で「光はまっすぐ進む」というたった一つの事実を手にしたところから、ぼくたちの冒険は始まりました。あのとき、まさかここまで遠くに来るとは思わなかったでしょう。レンズの中に逆さまの世界が映ること。シャッターのほんのわずかな時間のちがいで写真がまるで変わること。色という存在がじつは光の波長のちがいにすぎないこと。ぼくたちはたくさんの「えっ、そうだったの?」に出会ってきました。 この最終回では、40回の旅路をもういちど最初からたどりなおしてみましょう。ばらばらに見えていた知識が、じつはひとつの物語としてつながっていることに気づくはずです。 光の旅をたどりなおそう はじまりは「光はまっすぐ進む」 このシリーズで最初に学んだのは、光が持つもっとも基本的な性質でした。光はまっすぐ進む。当たり前のように聞こえますが、この「まっすぐ」がなかっ

By Sakashita Yasunobu

光と写真

写真のしくみ ⑨ カメラの「瞳」が明るさをあやつる

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 カメラの中をのぞいたことはありますか。レンズの奥に、何枚もの金属の羽根でできた穴が見えます。この穴は大きくなったり小さくなったりして、写真の明るさもボケも変えてしまう。今回は、きみ自身の目にも備わっている「絞り」のしくみと、写真の世界で使われる「F値」の正体に迫ります。 きみの目の中にも「絞り」がある 暗い部屋から急に外に出ると、まぶしくて目がくらむことがありますよね。でも少し待つと、ちゃんと景色が見えるようになります。逆に、明るい場所から暗い部屋に入ると、最初は何も見えないのに、だんだん目が慣れてくる。 これ、きみの目の中で何が起きているか知っていますか? きみの目の中には「虹彩(こうさい)」という色のついた部分があります。日本人なら茶色っぽく、ヨーロッパの人なら青や緑に見えるあの部分です。虹彩の真ん中に開いている黒い穴が「瞳孔(どうこう)」。ふだん「瞳」と呼んでいるのは、実はこの穴のことなんです。 明るい場所では、虹

By Sakashita Yasunobu

光と写真

写真のしくみ ⑮ 絞りすぎると逆にぼやける理由と最もくっきり写るF値

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 前回までで、ピントとボケのしくみを見てきました。絞り(F値)を絞れば絞るほど、ピントの合う範囲が広がって、写真はくっきりしていく。それが基本でしたね。 だったら、絞りをめいっぱい絞ればいいじゃないか。F16、F22、もっと絞れるなら絞ってしまえ。そうすれば、すみずみまでカリッとした、最高にくっきりした写真が撮れるはずだ。 ……ところが、そうはいかないのです。 実は絞りすぎると、写真は逆にぼんやりしてしまいます。「えっ、どうして?」と思いますよね。ここには、光という存在そのものの性質と、レンズという道具の宿命が関わっています。今回は「くっきり」の限界に迫っていきましょう。 絞りすぎると起こる「回折」 光は波だ まず、大事なことをひとつ。光は「波」です。 ちょっと意外に聞こえるかもしれません。ふだん光というと、懐中電灯からまっすぐ飛ぶ「線」

By Sakashita Yasunobu

光と写真

写真のしくみ ⑥ 画角と焦点距離が決める写る範囲の広さ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 前の回で、焦点距離は「レンズから像ができる場所までの距離」だと学びました。では、この数字が変わると、写真にはいったい何が起きるのでしょう。今回は、焦点距離と写る範囲の関係を身近なたとえで解き明かしていきます。 「ズーム」って、結局なんの話? カメラ屋さんのレンズ売り場を歩くと、箱にかならず書いてある数字があります。18mm、35mm、50mm、200mm…。この焦点距離が変わると、写真の何が変わるのか。 答えをひとことで言うと、こうなります。 焦点距離が短い(数字が小さい)ほど、広く写る。焦点距離が長い(数字が大きい)ほど、せまく写る。 これだけです。とてもシンプル。でも、「なぜそうなるの?」を知ると、カメラのことがぐっとおもしろくなります。今回は、そこを探検していきましょう。 窓からのぞくと、なにが見える? いきなりレンズの話をする前に、

By Sakashita Yasunobu

光と写真

写真のしくみ ⑳ りんごが赤い理由と色が見えるしくみ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 私たちは毎日、色にあふれた世界で暮らしています。でも「色」は、光のなかにも、目のなかにも、そのままの形では存在していません。光と目と脳が協力してはじめて生まれるものです。 今回は、りんごの赤をきっかけに、色覚のしくみをたどり、デジタルカメラとの意外な共通点まで見ていきましょう。 りんごは「赤い光」を投げ返している きみの目の前に、つやつやの赤いりんごがあるとしましょう。「りんごは赤い」なんて当たり前すぎて、ふだんは気にもとめませんよね。でも、ちょっと待ってください。そもそも、なぜりんごは赤く「見える」のでしょう? 答えを先に言ってしまいましょう。りんごが赤いのは、りんご自身が赤い光を出しているからではありません。 りんごは太陽や蛍光灯の光を浴びて、そのなかの「赤い成分」だけを跳ね返し、残りの色の光をぜんぶ吸い込んでいます。跳ね返った赤い光だけが私たちの目に届くから、りんごは赤く見える。それだけのことです。 たとえ話をしま

By Sakashita Yasunobu

光と写真

写真のしくみ ㊲ 画面と紙で写真の色が変わるわけ

💡シリーズ「写真のしくみ」について 光はまっすぐ進み、レンズは世界をひっくり返す。写真と映像にひそむ小さな「なぜ?」を、数式なしで解き明かす全40回。 写真を撮った。よく撮れた。さあ、誰かに見せたい。 そのとき写真は、スマホの画面に映るか、紙にプリントされるか、どちらかの姿をとります。画面で見た写真と、プリントした写真。同じデータのはずなのに、色がちょっと違って見えたことはありませんか。「あれ、画面ではもっと鮮やかだったのに」「プリントしたら暗くなった」。これは気のせいではありません。画面と紙では、色をつくるしくみそのものが根本的に違うからです。 今回は、ディスプレイとプリンターがそれぞれどうやって色をつくっているのかをのぞいてみましょう。そして、なぜ画面と紙で色がずれるのか、その理由をつきとめます。 画面の中の小さな光たち スマホやパソコンの画面を、虫めがねでぐーっと拡大してみたことはありますか。やってみると、びっくりする光景が広がっています。画面は、ものすごく小さな光の粒でびっしり埋め尽くされているのです。 この粒のひとつひとつを ピクセル(画素)と呼びます。そして

By Sakashita Yasunobu