ことばと文学
日本語の文字と表記
📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 日本語はアルファベット以外の文字を使用し、しかも3つの文字体系を併用する「漢字仮名混じり文」という世界的にも極めて特殊な表記法を持つ。本稿ではまず音声に関する重要な現象を確認したうえで、日本語の文字体系の全体像を概観する。 母音の無声化 母音は本来有声音だが、特定の環境では声帯振動を伴わずに発音されることがある。これが母音の無声化である。無声化しやすいのはイとウの2つで、主に2つの環境で生じる。 第一は無声子音に挟まれた環境で、「くさ」「きかい」「つくえ」などがこれにあたる。第二は無声子音のうしろで後続音がない環境で、「~です」「~ます」の語尾がその典型である。日本語の「です」「ます」が自然に聞こえるためには、語末のウの無声化が重要な役割を果たしている。 音素と異音: 「同じ音」の多様な姿 日本語話者が「同じ音」として認識しているものが、実際にはまったく異なる音として発音されていることがある。音韻論ではこれを「音素」と「異音」の関係として説明する。 代表的な例が撥音「ん」(音素/