哲学を読む
論理が未来を一本の線に縛る
明日、海戦は起こるか。 2300年以上前にアリストテレスがこの問いを立てた。答えは出ていない。出ないのではなく、出せない。「起こる」と答えれば未来は決定済みになる。「起こらない」と答えれば海戦は不可能になる。「どちらでもない」と答えれば、論理学の土台が割れる。 あなたは明日の予定を手帳に書き込む。アラームを設定する。友人と約束する。そのすべては、未来が開かれているという暗黙の前提の上に成り立っている。しかしその前提を論理の言葉で正当化しようとした瞬間、足元から地面が消える。 アリストテレスの罠 『命題論(De Interpretatione)』第9章。アリストテレスはここで、すべての命題は真か偽かのどちらかであるという原則、いわゆる二値原理(principle of bivalence)を未来の偶然的事象に適用したとき何が起こるかを問うた。 論理はこう要求する。「明日、海戦が起こる」という命題は、今この瞬間、真か偽かのどちらかである。もし真なら、海戦は必然的に起こる。もし偽なら、海戦は必然的に起こらない。どちらの場合も、未来はすでに確定している。偶然など存在しない。 これ