光と写真
写真の物理学 ㉕ 演色性とメタメリズム
📐写真の物理学シリーズ ㉕ このシリーズでは、写真にまつわる現象を物理学の言葉で記述する。「なんとなくそうなる」を「なぜそうなるか」に変換することが目的である。 同じ白いシャツが太陽光では自然に、蛍光灯では青白く、安価なLEDでは黄ばんで見えるのは、光源の分光分布と人間の色覚の構造から物理的に説明できる。光源が物体色に与える影響を定量化する「演色性」と、異なる分光分布が同一の色知覚を生む「メタメリズム」は、いずれもこの構造の帰結である。本稿では、CRI・TM-30による評価体系と、三刺激値の零空間に基づくメタメリズムの数学的定式化を扱う。 演色性の定義 演色性(color rendering)とは、光源が物体の色の見え方に与える影響を表す概念である。より正確には、ある試験光源のもとで物体の色が、基準光源のもとでの色とどれだけ一致するかを評価する尺度だ。 基準光源は以下のように定義される。 * 相関色温度(CCT)が5000K未満の光源に対しては、同じ色温度のプランク放射体(黒体) * CCTが5000K以上の光源に対しては、同じ色温度のCIE昼光 この定義が意味する