あたまのなか
近づくほどに遠ざかるもの
今夜、午前3時に電話をかけられる人間は何人いるか、数えてみてほしい。3人? 1人? それとも、連絡先を上から下までスクロールして、結局誰にもかけられないまま画面を閉じるだろうか。 安心してほしい。それは正常な状態だ。人類学的に、進化論的に、哲学的に、正常だ。 この「正常さ」が、たぶんいちばん救いがない。 この記事には答えがない。あるのは、だんだん大きくなっていく問いだけだ。つながりには天井があること。テクノロジーは何も変えなかったこと。「自分」という感覚すら怪しいこと。全部知ったところで一ミリも楽にはならないが、知らなかったことにも、もう戻れない。 脳が許した150人 1990年代、イギリスの人類学者ロビン・ダンバーは、霊長類の大脳新皮質の大きさと、その種が維持する社会集団の規模にきれいな相関があることを見出した。脳が大きいほど、安定した社会関係を多く維持できる。この知見をヒトの脳に当てはめたとき、導かれた数字がおよそ150だった。 150人。「あの人は誰で、あの人とこの人はどういう関係か」を把握しておける人数の、生物学的な天井。ダンバーはこの仮説の背景にある考え方を「社