ことばと文学
日本語のヴォイス
📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 ヴォイス(態)とは、同じ出来事を異なる視点から表現する文法的な仕組みである。日本語のヴォイスには受身・使役・自他動詞の対応などが含まれ、「誰の視点で出来事を語るか」を選択する機能を果たしている。本稿ではこれらの表現を体系的に整理する。 受身文: 出来事を受け手の視点から語る 受身文は、能動文で目的語や影響を受ける側にあたるものを主語に据えて、出来事を語り直す表現である。日本語の受身には大きく分けて3つの種類がある。 直接受身 直接受身は、能動文の目的語を主語にした受身文で、最も基本的な形である。 能動文「先生が学生を褒めた」→ 受身文「学生が先生に褒められた」 能動文の目的語「学生」が受身文の主語になり、能動文の主語「先生」は「に」で標示される。他動詞の目的語がそのまま受身の主語に転換される点が特徴的で、英語の受身文に近い構造をしている。 間接受身(迷惑の受身) 間接受身は日本語独特の受身で、直接的な動作の対象ではない人が、その出来事によって影響(多くの場合は迷惑)を受ける