大学

The university is an institution that keeps asking what it is for. These entries consider governance, admissions, research, internationalization, and the distance between what a university promises and what it delivers.

大学

朝鮮戦争と核拡散

💡本稿をお読みになる方へ 朝鮮戦争とその後の核拡散は、朝鮮半島の分断、東アジアの安全保障環境、そして核兵器をめぐる国際秩序に現在も直結する、極めて深刻かつ繊細な問題です。本稿で扱う歴史的事象に関連して犠牲となられたすべての軍人および民間人の方々に対し、その国籍、民族、立場を一切問わず、深い敬意と哀悼の意を表します。また、現在も朝鮮半島の分断や戦争の影響のもとで生活されているすべての方々に対しても、同様の敬意を表します。 筆者の立場と本稿の限界について 筆者は軍事史、東アジア国際関係、核戦略のいずれの専門家でもなく、一学生にすぎません。本稿は、大学の講義で視聴したドキュメンタリー番組(NHK「映像の世紀 バタフライエフェクト」)をもとに執筆した大学レポートを再構成したものであり、学術論文ではありません。限られた情報源に基づく記述であり、朝鮮戦争やその影響の全体像を網羅するものでは到底ありません。より正確で多角的な理解のためには、関係各国の公式記録や専門的な学術文献を参照されることを強くお勧めします。 政治的中立性について 本稿は、いかなる国家、政治体制、民族、イデオロギーをも支持、

By Sakashita Yasunobu

大学

中国のデジタル化はなぜ速かったのか

中国のデジタル化は、いまや世界が注目する現象である。キャッシュレス決済の普及、巨大プラットフォーム企業の急成長、日常のあらゆる場面に浸透するスマートフォン活用。筆者は大学在学中に1年間中国へ留学し、現地のデジタル社会を肌で体験した。帰国後に改めて文献を通じて中国のIT事情を整理すると、その背景には技術的要因だけでなく、経済構造、社会制度、文化的特性が複雑に絡み合っていることが見えてきた。本稿では3冊の文献を中心に、中国のデジタル化がなぜ急速に進んだのかを考察する。 📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 中国のデジタル化の特徴 キャッシュレスという点では、中国は日本のはるか先を行っている。井出啓二は『奥深く知る中国』のなかで、先進国のなかでも日本は特に現金の利用率が高いことを指摘し、ATMインフラの充実がかえって現金社会を維持させていると分析する。一方で中国ではスマートフォン一台でほぼすべての支払いが完結する。伊藤亜聖も『現代中国ゼミナール』で、中国に行くとQRコード決済が完全に普及・定着していることを肌で感じると述べている。

By Sakashita Yasunobu

大学

資本主義の成立条件と拡大の論理

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 近代社会において支配的な生産様式となった資本主義は、特定の歴史的条件のもとで成立した。その成立に不可欠だったのが「二重の意味で自由な労働者」の出現であり、資本主義的生産はその独自の構造ゆえに生産と販売の無際限な拡大を志向する。本稿では、資本主義の成立条件からその内在的な拡大の論理、そして拡大が直面する限界までを整理する。 二重の意味で自由な労働者 資本主義的生産の成立には、労働力が商品として市場に現れること、すなわち労働力の商品化が不可欠である。そのために必要な条件が「二重の意味で自由な労働者」の登場であった。 第一の自由は、財産からの自由である。これは英語のalcohol-freeにおけるfreeと同様の用法であり、「自由」というよりもむしろ「欠如」を意味する。すなわち、土地から切り離され、財産を持たない労働者の出現である。財産を持つ者は自らの生産手段によって生活を維持できるため、労働力を他者に売る必要がない。労働力の売り手が登場するためには、生産手段を持たず、労働力を売る以外に生存の

By Sakashita Yasunobu

大学

国際貿易体制と自由貿易の理念

第二次世界大戦の背景の一つに、戦間期における保護貿易の連鎖があった。この反省に立ち、戦後はGATTを起点とする多角的貿易体制が構築された。本稿では、保護貿易がいかにして世界大戦の遠因となったか、その反省から生まれたGATT/WTO体制の理念と原則、そして途上国への配慮としての一般特恵制度を整理する。あわせて、戦後の途上国の経済成長がもたらした世界史的意義にも触れる。 保護貿易の悪循環 戦前の経済危機のもとで、各国は自国産業を保護するために保護貿易に走った。この過程は深刻な連鎖を生んだ。 植民地帝国による関税自主権の濫用が自国中心主義を強め、市場の分断と対立をもたらした。各国が輸入関税を引き上げると、それに対抗して他国も関税を引き上げるという連鎖反応が生じた。さらにはブロック経済化が進行し、域内国には低い関税を、域外国には高い関税を課すという差別的な貿易構造が形成された。 この市場の囲い込みと対立が深刻化した結果、最終的には第二次世界大戦へとつながっていったのである。 GATT/WTO体制の成立 保護貿易がもたらした惨禍への反省から、戦後には関税自主権の濫用を防止する国際

By Sakashita Yasunobu

大学

農業革命と支配関係の成立

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 人類の歴史において、農業革命は社会構造を根本から変えた出来事の一つである。農耕の開始によって社会が余剰を生産する能力を獲得し、それが支配と被支配の関係を生み、やがて国家の形成へとつながった。本稿では、余剰生産がいかにして支配関係を成立させ、社会集団間の関係を変容させたかを整理する。 余剰の生産と支配関係の成立 農業革命以前の社会では、生産物は生産者とその家族の生活を維持するのにちょうど足りる程度であった。ところが農耕技術の発達により、生活維持に必要な量を超える超過分、すなわち余剰が生まれるようになる。ここでいう余剰とは、生産者と家族の生活維持に必要な生産物を超える超過分のことである。 余剰の出現は、社会に新たな構造をもたらした。余剰を生み出す生産者(農民)と、その余剰を獲得して自らのものとする非生産者(支配層)とが分化し、前者が被支配層、後者が支配層となる関係が成立したのである。 この論理を裏返せば、余剰を生産できない社会では支配関係は成立しない。生産物が生活維持にちょうど足りるだけで

By Sakashita Yasunobu

大学

大学のあり方を問う

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 社会は変わり、大学を取り囲む環境も大きく変わった。少子高齢化、グローバル化、情報技術の進展。こうした変化のなかで大学は何を求められ、どこへ向かおうとしているのか。 筆者は大学の講義を通じて、大学政策に関するレポートを毎回のテーマに沿って執筆した。そのなかで見えてきたのは、大学という組織が抱える課題の多面性である。経営、ガバナンス、入試、研究、地域貢献、国際化。それぞれが独立した問題でありながら、根底では互いにつながっている。 本稿ではこれらのレポートを5つの視点から整理し、各記事への案内とする。 大学と社会 大学は社会のなかでどのような存在なのか。この問いは他のすべてのテーマの出発点となる。 大学と社会の関係性では、企業と大学の類似点に着目し、「公共経営」という概念を手がかりに、大学が企業的手法を取り入れる背景を考察した。営利を目的としない大学がなぜ企業と似た振る舞いを見せるのか。その答えは、公共的課題の解決という共通の目的にある。 大学の理念と個性では、私立大学の教育理念を具体的

By Sakashita Yasunobu

大学

大学の戦略的ガバナンス

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 社会は変わり、大学を取り囲む環境も大きく変わった。これにより大学もよりよいあり方をそれぞれが自問する時期を迎えている。大学が象牙の塔であり続けることは時代に合わなくなっており、効率的な経営が求められるようになった。効果的な経営を戦略的に進めていくうえで、統制には内的なものと外的なものがある。本稿では内的な統制としてガバナンスに着目し、戦略的なガバナンスが求められる背景と今後の展望について論じる。 大学のガバナンスの現在 大学のガバナンスの必要性が生じた背景を、経営という視点と組織モデルという二つの視点から考察する。 経営から見たガバナンスの必要性 Michael Shattock によれば、大学経営の手法は university administration(大学管理)から university management(大学経営)へ、そして現代では strategic management(戦略的経営)へと段階を経て移行しているという(1)。また、Shattock は戦略的経営が注目さ

By Sakashita Yasunobu

大学

大学の国際化

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 大学の国際交流を考えるとき、経営的観点、地理的観点、ナショナリズム的観点など様々な切り口が考えられる。本稿では人的資源の交流という観点から大学の国際交流活動について考察を深め、今後の展開について論じる。 学生の国際交流 学生の国際交流は主に留学というかたちで行われる。海外からの交流としては外国人留学生の受け入れがその最たるものであり、国際交流活動を続けていくうえで留学生への待遇改善は大きな課題である。 滝沢によれば「留学生といえども、わが国で学び、研究する学生・院生であるから、その専門的力を身につけ、さらに高めるために、カリキュラムの改善、指導体制の確立、施設の整備など日本人学生と同様のことを常に意識しなければならない」と主張している(1)。また、外国人留学生の生活保障について「アジアからの留学生にとって、日本での生活費の高さは耐えられないものである。国費留学生にたいする奨学金を含めた種々の待遇改善をはかることはもちろん、私費留学生にたいしても、奨学金の給付、授業料の免除(減免)など、勉

By Sakashita Yasunobu

大学

大学間連携の未来

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 M. Trowによって提唱された大学区分において、日本は現在ユニバーサル型へ変化しており、各大学はそのあり方の見直しに迫られている。そうしたなかで、他大学との提携を結ぶ大学もあらわれている。本稿ではそのあり方について「水平的」および「垂直的」視点から分析し、大学の将来像について模索していくこととする。 水平的連携:大学同士の提携 大学同士の連携のことを水平的連携と呼ぶこととする。水平的連携の視点からは、大学が提携を深めることによって、各大学の資源の有効活用や自身の特色を発揮するだけでなく、成長させることができ、企業における分業化のような効果が期待できる。さらには、社会の大学へのニーズにより的確に応えることができると考えられる。中元によると「共同事業体(大学コンソーシアム)で得ることが可能なメリットとして、(1)スケールメリット(規模の経済による効果)、(2)シナジー(単なる合力を超えた相乗効果)、(3)パイロットプログラム(試行実証・普及)、(4)相互補完(資源を持ち合うことで自大学の特色

By Sakashita Yasunobu

大学

大学発ベンチャーと技術移転

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 本稿の目的 本稿では大学発ベンチャーの特徴について整理した後に、そこから考えられる大学発ベンチャーの社会的利点について考察する。 ベンチャー企業の特徴:大企業との比較 長谷川は、事業に失敗する理由について大企業と比較を行い、共通点は「未知の分野への展開」、相違点としては「ベンチャー企業は資金力、信用力が圧倒的に大企業に比べて不足しており、また、人材も一般的に集まりにくいと言われている」と整理している(1)。大学発ベンチャーでは、大学での研究を生かし、優秀な研究者などの人材の登用が期待できる。 大学発ベンチャーへの期待 大学に限らず、企業や経済のあり方、文化などですら国際化の大きな流れがある。大学にもいずれそうした流れが来ると考えられる。国際化する市場のなかで今後はベンチャーのあり方も多様化していくと考えられる。岡村、五十嵐によると、大学での研究を企業が転用するあり方は一般に技術移転(TLO: Technology Licensing Organization)と呼ばれ、活発化して

By Sakashita Yasunobu

大学

大学の理念と個性

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 本稿では大学の理念に着目し、その経営機能としての広報活動を明らかにすることとする。なお、本稿では上智大学について調査を行った。 大学の理念:上智大学から 以下は上智大学の理念をホームページから引用したものである(1)。 上智大学は、キリスト教精神を基底とし、真実と価値を求めて、人間形成につとめるものの共同社会である。したがって、本学は、構成員のおのおのが、人格の尊厳と基本的人権を認め合い、責任ある連帯感と謙虚な心構えをもって、それぞれの持ち場で、大学の形成に参加することを期待する。 教授は、学術の研究を尊重し、みずからの研究を深めることを通して、人類の精神的・知的文化を新しい世代に伝達するとともに、現代に生起する諸問題に目をそそぎ、人類の当面する課題について、意識を喚起するよう心掛けることが必要である。 学生は、専攻の学問を研究すると同時に、現代社会に対する鋭敏な問題意識と判断力を養成することが必要である。これによって、学生はみずからの人格を形成し、社会の建設に貢献する力を身につける

By Sakashita Yasunobu

大学

大学構成員の多様化

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 多様化する大学構成員への対応によって、大学のあり方にも変化が生じている。大学には学問の研究を目的とする教授などのほかに、一般事務を行うその他の職員も存在する。そのどちらも巨大な組織である大学の運営に欠かせないものであるが、組織内での立ち位置や具体的業務は異なる。本稿では大学の主たる構成員を教員、職員、学生の三者に分けて整理し、それぞれの多様化が大学の組織運営にもたらす課題について考察する。 教員の役割と変化 大学教員は教育と研究の両方を担う存在であり、それが大学教員の最大の特徴である。近年では従来の研究・教育に加えて、産学連携や地域貢献、大学運営への参画など、教員に求められる役割は拡大している。また、任期付きポストの増加やテニュアトラック制度の導入など、雇用形態の多様化も進んでいる。こうした変化は教員のキャリアパスに影響を及ぼすだけでなく、大学全体の研究力や教育力にも関わる問題である。 職員の専門化 大学職員についても、その業務内容は大きく変化している。かつては教員の補助的な事務作業

By Sakashita Yasunobu