おぼえ

Something was studied, and this is what it left behind — not the lesson itself, but the marks it left on the way through.

おぼえ

大学の研究と社会貢献

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 岩崎[1]は大学の基本的機能について、「大学は、教育・文化、科学技術・学術、医療、産業・経済等社会の発展の基盤として中核的な役割を担う重要な機関である。その機能は、教育、研究、社会貢献に分類できる」と説明している。つまり、大学は各機能において幅広く活動をしていることがわかる。本稿では特に大学の研究及びそれに係る社会貢献について、当時の社会情勢に関連させて論じる。 ワクチン開発と企業の対応 2019年末から急速に広がりを見せた新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19と表記する)は、社会で猛威を振るった。感染拡大当初は有効な治療法や事前の免疫獲得のためのワクチンなどがなく、開発・研究が急がれた。先導したのはファイザー(Pfizer)社やモデルナ(Moderna)社、アストラゼネカ(AstraZeneca)社などといった大企業である。このうちファイザー社は世界時価総額ランキング[2]の28位に位置するほどの世界的大企業であり、医療関連分野に限れば世界第2位である。今回の開発でもその潤沢な予

By Sakashita Yasunobu

おぼえ

IRと大学経営

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 本稿の目的 経営資源として一般に挙げられる要素はヒト、モノ、カネであり、近年はさらに情報が加えられた四つとされることもある。このように現代社会においてデータは経営において重要な位置を占めており、大学経営の今後を考える上でも必要不可欠な要素となっている。本稿ではそのデータの活用法について大学経営という視点から考察していくこととする。 IRとデータ ところで、データを活用して大学の運営方針を考える上で、実際にデータを活用し、大学の意思決定をするための情報提供を行うのはIR(Institutional Research)と呼ばれるものである。しかし、IRが行う活動を一言で表すことは難しく、その理由を小林と山田は「実践的な活動」であること、「IRが現在でもなお発展を続けていること」、「多様性」の三つとして指摘している(1)。データの活用一つをとり、その応用を考えられる事例は枚挙にいとまがない。たとえば、社会が大学に求めているもの(ニーズ)の分析、学生募集、他校との比較、大学運営の効率化などとい

By Sakashita Yasunobu

おぼえ

教育の目的と自由

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 今回の講義を通して、大学も法律によってさまざまなことが規定されていることを学んだ。本稿では、教育の目的と本質に立ち返りながら、国による教育統制のあり方について考察する。 教育の本質 世界を変えるのは結局のところ人々であり、そのための明晰さ、分析能力などの開発を行う場こそ教育であると考える。つまり、教育の場とは社会の最も重要で基礎的な改革の始まりの場でもあると考えられる。だからこそ、国民の三大義務の一つは教育についての規定になっているのではないだろうか。 ところで筆者は、学ぶこととは自分にとっての世界の解像度、色域を広げることだと考えている。知識を持つことで物事をより深く、関連付けて、興味深く見ることができるようになるからだ。大学では高等教育を学ぶため、より専門性を深めていく一方、広範な教養も身につける。筆者は特にこの教養に類される知識に着目しており、教養を身につけることで世界の仕組みが見えるように思える。 実際に佐藤[佐藤晴雄 2003]は教育の目的と本質について 文化が蓄積され、高

By Sakashita Yasunobu

おぼえ

設置者別の大学の差異

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 本稿では、大学の設置者別にみた活動の違いとして、大学のガバナンスに着目し論じていく。 大学の設置方法:グローバルな視点から まず設置者別による違いへと入る前に、大学の設置方法についてグローバルな視点から論じる。 天城、新堀らによると大学の設置及びその基準・水準の維持、向上の方式は主として3つある[1]。続けて、「第1はチャータリング方式、第2は政府統制方式、第3がアクレディテーション方式」と大別したうえで、日本の大学制度は欧米の大学を手本としているため、とくに欧米の方式に注目したと説明している。チャータリング方式は国王ないし国家が大学へ承認勅許状(charter)により学位授与権を与える方式であり、特にイギリスで発展してきた。政府統制方式は大学が国家の統制下に置かれ、国家が大学の基準維持の責任を持つ制度であり、特にドイツ及びフランスで発展してきた。アクレディテーション方式はある教育機関が専門職集団又は法律の定める団体によって定められた最低基準を満たしたことを認定する方式であり、特にアメリ

By Sakashita Yasunobu

おぼえ

社会との関係性から見た大学組織の役割

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 筆者は講義を受け、大学の役割は企業が社会に対して果たしている役割と似ていると感じた。よって、本稿では企業と社会との関係性に着目し、大学がミッションを果たすことによる社会での役割について論じる。 大学と企業の類似性 企業の社会における立ち位置については、P. F. ドラッカー[Drucker 2008]によると「企業は社会的組織である」ととらえている。一方で大学は学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九章第八十三条第二号により「大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するもの」とされている。つまり、営利目的であるかどうかの違いはあれど、どちらも最終的には社会への寄与が求められており、このような視点からは似た存在であるといえるであろう。 ではもう少し個別具体的に見ていくとしよう。例えば、企業は各々がサービスの研究を行い、個性を発揮し、ブランド化を行う。これは大学においても同様の動きが見られるという点でも類似していると考えた。

By Sakashita Yasunobu

おぼえ

コロナ禍と大学

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 新型コロナウイルス感染症の流行によって社会は大きな変化を迫られた。世界経済の停滞や、運送量の大幅増加に伴う混乱など、直面した問題は多い。多くの大学が教育を継続するための暫定的な策としてICT機器を用いたオンラインによる授業を展開した。総務省資料(p.19)[2]によると教育のオンライン化に伴い各学生はPCとインターネット環境を整えなくてはならないため、それが家庭における財政的負担になっている。その結果、家庭の世帯年収によって学習機会の格差が生じていると指摘されている。急速な教育現場での諸問題の発生はやむを得ないことではあるが、学習格差の問題については大学というよりかはむしろ国が対策すべき問題ではないかと思われる。 ところで、近年は世界のグローバル化が進んでいたが、学校のグローバル化の進捗は今ひとつであった。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う授業のオンライン化によって大学と学生の両方でデジタル化が急進し、グローバル化する社会へ一歩前進したとも言えよう。そういった面では環境の変化が改革を

By Sakashita Yasunobu

おぼえ

日本語の語彙と意味

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 日本語の語彙は、その成り立ちや意味関係において豊かな体系を持っている。本稿では語の構造や出自、意味関係、そして比喩やオノマトペまで、日本語の語彙の世界を広く見渡す。 語彙の基本概念 「語」と「語彙」は区別が必要である。「語」は意味を持った、文を組み立てる最小の独立した単位であり、語形(音や文字)と語義(意味)、そして指示対象(実際のもの)から成り立つ。一方「語彙」は一定の範囲における語の集合を指す。「範疆という語を習った」と言えば個々の単語を指し、「新聞を読むのにどのくらいの語彙が必要か」と言えば語の集合を指す。 機能による分類として、名詞・動詞・形容詞・副詞など実質的な意味を持つ「実質語(内容語)」と、助詞・助動詞・接続詞など主に文法機能を担う「機能語」がある。「私は日本人だ」という文では、「私」「日本人」が実質語、「は」「だ」

By Sakashita Yasunobu

おぼえ

考古学の自然科学的分析

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 遺跡の調査においては、遺物や遺構そのものの分析に加えて、遺跡周辺にどのような環境が広がっていたか、人々がその環境にどう働きかけていたか、遠隔地とどのようなつながりを持っていたかを解明することが重要な課題となる。本稿では、こうした課題に取り組むための手法として、珪藻分析、蛍光X線分析、および動物遺存体の分析を概説する。 珪藻分析 珪藻分析は、珪藻(けいそう)の種構成が水域環境によって異なることを利用し、遺跡の土壌から検出された珪藻を分析することで当時の水環境を復元する手法である。 珪藻は二酸化ケイ素(ガラス質)の殻を持つ単細胞の植物プランクトンであり、この殻が土壌中に長期間保存される性質を持つ。珪藻は水環境に敏感に反応し、水質の清濁、流水か停水か、塩分濃度の高低、水深の深浅といった条件によって生息する種が変化する。遺跡の土壌から検出された珪藻の種構成を既知の生態データと比較することで、その場所の過去の水環境を推定できる。 具体的な応用としては、環濠に水が流れていたか否かの判定、水田耕作の

By Sakashita Yasunobu

おぼえ

考古学の年代測定法

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 考古学において、出土した遺物や遺構がいつの時代のものであるかを明らかにすることは、歴史を読み解くうえで根本的に重要な作業である。年代測定にはさまざまな手法が存在するが、本稿では有機物の年代を推定する放射性炭素年代測定法と、木材の伐採年代を特定する酸素同位体年輪年代法について概説する。 放射性炭素年代測定法 原理 放射性炭素年代測定法は、大気中の放射性炭素(¹⁴C)の挙動に基づく年代測定法である。宇宙線が大気上層で窒素原子(¹⁴N)に衝突すると¹⁴Cが生成され、一方で¹⁴Cは放射性崩壊により減少する。この生成と崩壊が動的平衡を保つため、大気中の¹⁴C濃度はほぼ一定に維持される。 生きている生物は呼吸や光合成を通じて大気と炭素を交換するため、体内の¹⁴C濃度は大気と同程度に保たれる。生物が死亡すると炭素の取り込みが停止し、体内の¹⁴Cは放射性崩壊によって一方的に減少する。¹⁴Cの半減期は約5,730年(±40年)であり、この一定の崩壊速度を利用して、試料中の¹⁴C残存量から死後の経過時間

By Sakashita Yasunobu

おぼえ

気候変動の環境経済学

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書(AR6)は、地球温暖化に関する科学的知見を包括的に評価した文書である。本稿では、同報告書が示す気候変動の現状と将来予測を概観し、環境経済学の視点から分析する。 地球温暖化の現状 IPCC第6次評価報告書によれば、工業化以前(1850年から1900年)の基準期間と比較して、2011年から2020年の世界平均気温は1.09°C上昇した。報告書は、この変化の速度について「1970年以降、世界平均気温は、少なくとも過去2000年にわたって経験したことのない速度で上昇した」と述べている。 温暖化の原因について、報告書は「人間の影響が大気、海洋、陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と断定している。根拠として、大気中の二酸化炭素(CO₂)濃度が少なくとも過去200万年のどの時点よりも高いこと、メタン(CH₄)と一酸化二窒素(N₂O)の濃度が少なくとも過去80万年間のどの時点よりも高いことが示されている。 将来予測とカーボンバジェ

By Sakashita Yasunobu

おぼえ

ごみ処理と拡大生産者責任

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 ごみの処理は、自治体が担う最も身近な公共サービスの一つであると同時に、費用負担や処分場の確保といった構造的な課題を抱えている。本稿では、高知市の清掃事業を事例にごみ処理の現状と課題を分析し、拡大生産者責任(EPR)の考え方を取り入れた制度設計について考察する。 高知市のごみ処理事業 高知市のごみ処理事業は、段階的な制度改革を重ねてきた。特筆すべきは、平成元年(1989年)に開始されたプラスチック系ごみの分別収集である。当初は全市の8.3%の世帯を対象としたモデル地区から始まり、翌年の平成2年1月には全市域での分別収集が実現した。これは容器包装リサイクル法の完全施行(2001年)に12年先行する取り組みであった。 現在の分別区分は、可燃ごみ、プラスチック製容器包装、ペットボトル、資源物、可燃粗大ごみ、家電品、水銀含有廃棄物、不燃ごみ、発火器具・ライター類の9区分である。こうした分別収集体制のもと、平成19年度(2007年度)以降は焼却灰・焼却飛灰の全量をセメント資源化するゼロ・エミッション

By Sakashita Yasunobu

おぼえ

英語の動詞と語順の変遷

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 古英語から現代英語への移行において、動詞体系と語順は相互に関連しながら大きく変化した。強変化動詞の母音交替パターンの平準化、完了形の形成方法の変化、語順の固定化、そして機能語の発達は、英語の文法構造を根本的に変えた変化である。本稿では、これらの変化を整理し、あわせてフランス語の否定構文との比較を通じて、言語変化の一般的なパターンを考える。 強変化動詞の母音交替と平準化 現代英語の動詞 shrink には、過去形として shrank と shrunk の二つの形が存在する。この併存は、英語の強変化動詞(不規則動詞)における歴史的な平準化(leveling)の過程で生じたものである。 アプラウトと古英語の強変化動詞 古英語の強変化動詞は、アプラウト(Ablaut、母音交替)と呼ばれる体系的な母音変化によって時制を表した。アプラウトはインド・ヨーロッパ祖語にまで遡る現象であり、語根の母音を交替させることで文法的な区別を表す。 古英語では、強変化動詞の過去形は単数と複数で異なる母音を持って

By Sakashita Yasunobu