大学

The university is an institution that keeps asking what it is for. These entries consider governance, admissions, research, internationalization, and the distance between what a university promises and what it delivers.

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大学入試と選抜

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 本稿の目的 入試には大学の財源確保という側面や、そもそも大学が高等教育を施す学術研究中心であり、文化に関して寄与する部分も大きく、長期的な視点から見ると、単に財政的視点から考察することは短絡的な結論を導いてしまう危険性をはらむ。そのため、本稿ではむしろ学生と大学の関係性から眺めた入試について論じる。 入試のあり方 現代の日本の大学はM. トロウの提唱した高等教育の分類では、ユニバーサル型へ進歩した状態であるが、大学の大衆化が指し示す状況は、国民のほとんどが大学に行くことができるようになった社会がすでに形成されたということでもあり、昔に比べ大学に入ってくる学生も多様化するのは自明といえる。歯止めがきかない少子化と増える大学数がすでに調和を超えており、大学側も受験者の多様化への対応を迫られている。入試を構成する要因は多く、天野は例として「大学としての個性、属性」、具体的には「校風とか伝統といわれるもの」、「教育内容、カリキュラム」として挙げている(1)。本稿では、前者の要素にさらに学力、授

By Sakashita Yasunobu

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大学の管理運営と多様化

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 大学に限った話ではなく、事業を円滑に動かすためには合理的・効率的な運営が必要となる。そのための大学の管理運営のあり方のひとつとして江原は「大学構成員、特に大学教員の考え方や意思決定を重視する同僚性的管理運営から、大学の経営責任がある理事会の理事と学長とか副学長などの上級大学管理者の権限が強い企業的管理運営へ変化すること」を提唱している(1)。大学が企業的に行動することで、市場によって競争が促されることが期待される。 McNayの分類による管理運営の理解 講義によればMcNayの分類では、同僚制は外部統制も内部統制もともに緩やかであり、その特徴は「規則は緩く、大学の方針は明確に示されない」ため「発展期に有効」である。また、企業制とは、外部統制が緩やかである一方で内部統制は厳しいという分類がなされている。その特徴は「規則は緩いが大学の方針は計画的に策定される」というものである(2)。異なった視点からでは、たとえば、現在の日本ではトロウが提唱したマス型の教育からユニバーサル型へ移行しつつある

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大学と地域貢献

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 近年の社会では大学と地域社会の関わり方が変わり、社会貢献責任の考え方の広がりなどに伴い、大学が地域と連携していくことが期待されている。本稿では、大学の地域貢献から原点に立ちかえり、今後大学がどのようにして地域連携していくべきかを論ずることによって、地域社会へ貢献する目的と問題点について明らかにすることを目的とする。 大学の地域貢献と学術探究の関係 まず、近年の大学による地域貢献の期待の高まりについて、梶は地域貢献を「大学の『第3の機能』」と指摘している(1)。このように、たしかに大学の機能が地域貢献に関して拡大してきているが、大学の最も重要な機能は学術の探究である(2)。大学の機能に関して草原も「大学の社会的責任には多様な側面があるが、最も重要かつ基本的なことは『学問を通じて貢献すること』だ」と強調している(3)。このことから、筆者は大学が自身の特性を生かした地域連携のあり方を模索していくべきだと考える。すなわち大学は必ずしも地域貢献に直結する事業のみから地域と連携しなければならないわけで

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大学の研究と社会貢献

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 岩崎[1]は大学の基本的機能について、「大学は、教育・文化、科学技術・学術、医療、産業・経済等社会の発展の基盤として中核的な役割を担う重要な機関である。その機能は、教育、研究、社会貢献に分類できる」と説明している。つまり、大学は各機能において幅広く活動をしていることがわかる。本稿では特に大学の研究及びそれに係る社会貢献について、当時の社会情勢に関連させて論じる。 ワクチン開発と企業の対応 2019年末から急速に広がりを見せた新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19と表記する)は、社会で猛威を振るった。感染拡大当初は有効な治療法や事前の免疫獲得のためのワクチンなどがなく、開発・研究が急がれた。先導したのはファイザー(Pfizer)社やモデルナ(Moderna)社、アストラゼネカ(AstraZeneca)社などといった大企業である。このうちファイザー社は世界時価総額ランキング[2]の28位に位置するほどの世界的大企業であり、医療関連分野に限れば世界第2位である。今回の開発でもその潤沢な予

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IRと大学経営

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 本稿の目的 経営資源として一般に挙げられる要素はヒト、モノ、カネであり、近年はさらに情報が加えられた四つとされることもある。このように現代社会においてデータは経営において重要な位置を占めており、大学経営の今後を考える上でも必要不可欠な要素となっている。本稿ではそのデータの活用法について大学経営という視点から考察していくこととする。 IRとデータ ところで、データを活用して大学の運営方針を考える上で、実際にデータを活用し、大学の意思決定をするための情報提供を行うのはIR(Institutional Research)と呼ばれるものである。しかし、IRが行う活動を一言で表すことは難しく、その理由を小林と山田は「実践的な活動」であること、「IRが現在でもなお発展を続けていること」、「多様性」の三つとして指摘している(1)。データの活用一つをとり、その応用を考えられる事例は枚挙にいとまがない。たとえば、社会が大学に求めているもの(ニーズ)の分析、学生募集、他校との比較、大学運営の効率化などとい

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教育の目的と自由

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 今回の講義を通して、大学も法律によってさまざまなことが規定されていることを学んだ。本稿では、教育の目的と本質に立ち返りながら、国による教育統制のあり方について考察する。 教育の本質 世界を変えるのは結局のところ人々であり、そのための明晰さ、分析能力などの開発を行う場こそ教育であると考える。つまり、教育の場とは社会の最も重要で基礎的な改革の始まりの場でもあると考えられる。だからこそ、国民の三大義務の一つは教育についての規定になっているのではないだろうか。 ところで筆者は、学ぶこととは自分にとっての世界の解像度、色域を広げることだと考えている。知識を持つことで物事をより深く、関連付けて、興味深く見ることができるようになるからだ。大学では高等教育を学ぶため、より専門性を深めていく一方、広範な教養も身につける。筆者は特にこの教養に類される知識に着目しており、教養を身につけることで世界の仕組みが見えるように思える。 実際に佐藤[佐藤晴雄 2003]は教育の目的と本質について 文化が蓄積され、高

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設置者別の大学の差異

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 本稿では、大学の設置者別にみた活動の違いとして、大学のガバナンスに着目し論じていく。 大学の設置方法:グローバルな視点から まず設置者別による違いへと入る前に、大学の設置方法についてグローバルな視点から論じる。 天城、新堀らによると大学の設置及びその基準・水準の維持、向上の方式は主として3つある[1]。続けて、「第1はチャータリング方式、第2は政府統制方式、第3がアクレディテーション方式」と大別したうえで、日本の大学制度は欧米の大学を手本としているため、とくに欧米の方式に注目したと説明している。チャータリング方式は国王ないし国家が大学へ承認勅許状(charter)により学位授与権を与える方式であり、特にイギリスで発展してきた。政府統制方式は大学が国家の統制下に置かれ、国家が大学の基準維持の責任を持つ制度であり、特にドイツ及びフランスで発展してきた。アクレディテーション方式はある教育機関が専門職集団又は法律の定める団体によって定められた最低基準を満たしたことを認定する方式であり、特にアメリ

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大学と社会の関係性

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 筆者は講義を受け、大学の役割は企業が社会に対して果たしている役割と似ていると感じた。よって、本稿では企業と社会との関係性に着目し、大学がミッションを果たすことによる社会での役割について論じる。 大学と企業の類似性 企業の社会における立ち位置については、P. F. ドラッカー[Drucker 2008]によると「企業は社会的組織である」ととらえている。一方で大学は学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九章第八十三条第二号により「大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するもの」とされている。つまり、営利目的であるかどうかの違いはあれど、どちらも最終的には社会への寄与が求められており、このような視点からは似た存在であるといえるであろう。 ではもう少し個別具体的に見ていくとしよう。例えば、企業は各々がサービスの研究を行い、個性を発揮し、ブランド化を行う。これは大学においても同様の動きが見られるという点でも類似していると考えた。

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コロナ禍と大学

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 新型コロナウイルス感染症の流行によって社会は大きな変化を迫られた。世界経済の停滞や、運送量の大幅増加に伴う混乱など、直面した問題は多い。多くの大学が教育を継続するための暫定的な策としてICT機器を用いたオンラインによる授業を展開した。総務省資料(p.19)[2]によると教育のオンライン化に伴い各学生はPCとインターネット環境を整えなくてはならないため、それが家庭における財政的負担になっている。その結果、家庭の世帯年収によって学習機会の格差が生じていると指摘されている。急速な教育現場での諸問題の発生はやむを得ないことではあるが、学習格差の問題については大学というよりかはむしろ国が対策すべき問題ではないかと思われる。 ところで、近年は世界のグローバル化が進んでいたが、学校のグローバル化の進捗は今ひとつであった。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う授業のオンライン化によって大学と学生の両方でデジタル化が急進し、グローバル化する社会へ一歩前進したとも言えよう。そういった面では環境の変化が改革を

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考古学の自然科学的分析

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 遺跡の調査においては、遺物や遺構そのものの分析に加えて、遺跡周辺にどのような環境が広がっていたか、人々がその環境にどう働きかけていたか、遠隔地とどのようなつながりを持っていたかを解明することが重要な課題となる。本稿では、こうした課題に取り組むための手法として、珪藻分析、蛍光X線分析、および動物遺存体の分析を概説する。 珪藻分析 珪藻分析は、珪藻(けいそう)の種構成が水域環境によって異なることを利用し、遺跡の土壌から検出された珪藻を分析することで当時の水環境を復元する手法である。 珪藻は二酸化ケイ素(ガラス質)の殻を持つ単細胞の植物プランクトンであり、この殻が土壌中に長期間保存される性質を持つ。珪藻は水環境に敏感に反応し、水質の清濁、流水か停水か、塩分濃度の高低、水深の深浅といった条件によって生息する種が変化する。遺跡の土壌から検出された珪藻の種構成を既知の生態データと比較することで、その場所の過去の水環境を推定できる。 具体的な応用としては、環濠に水が流れていたか否かの判定、水田耕作の

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考古学の年代測定法

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 考古学において、出土した遺物や遺構がいつの時代のものであるかを明らかにすることは、歴史を読み解くうえで根本的に重要な作業である。年代測定にはさまざまな手法が存在するが、本稿では有機物の年代を推定する放射性炭素年代測定法と、木材の伐採年代を特定する酸素同位体年輪年代法について概説する。 放射性炭素年代測定法 原理 放射性炭素年代測定法は、大気中の放射性炭素(¹⁴C)の挙動に基づく年代測定法である。宇宙線が大気上層で窒素原子(¹⁴N)に衝突すると¹⁴Cが生成され、一方で¹⁴Cは放射性崩壊により減少する。この生成と崩壊が動的平衡を保つため、大気中の¹⁴C濃度はほぼ一定に維持される。 生きている生物は呼吸や光合成を通じて大気と炭素を交換するため、体内の¹⁴C濃度は大気と同程度に保たれる。生物が死亡すると炭素の取り込みが停止し、体内の¹⁴Cは放射性崩壊によって一方的に減少する。¹⁴Cの半減期は約5,730年(±40年)であり、この一定の崩壊速度を利用して、試料中の¹⁴C残存量から死後の経過時間

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気候変動の環境経済学

📝本稿は筆者が大学の授業で学んだ内容をもとに、独自の考察を加えて再構成したものである。 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書(AR6)は、地球温暖化に関する科学的知見を包括的に評価した文書である。本稿では、同報告書が示す気候変動の現状と将来予測を概観し、環境経済学の視点から分析する。 地球温暖化の現状 IPCC第6次評価報告書によれば、工業化以前(1850年から1900年)の基準期間と比較して、2011年から2020年の世界平均気温は1.09°C上昇した。報告書は、この変化の速度について「1970年以降、世界平均気温は、少なくとも過去2000年にわたって経験したことのない速度で上昇した」と述べている。 温暖化の原因について、報告書は「人間の影響が大気、海洋、陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と断定している。根拠として、大気中の二酸化炭素(CO₂)濃度が少なくとも過去200万年のどの時点よりも高いこと、メタン(CH₄)と一酸化二窒素(N₂O)の濃度が少なくとも過去80万年間のどの時点よりも高いことが示されている。 将来予測とカーボンバジェ

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